教育データ標準「第2版」公表 児童生徒や教員の属性など

 教育データの利活用に向け、さまざまな種類のデータの表記や入力のルールを共通化する「教育データ標準」について、文科省は12月28日、学習指導要領コード、学校コードに続き、児童生徒、教職員、学校などの属性の基本情報をコード化した「第2版」を公表した。学校現場での重要なデータの入力ルールをそろえることで、サービスや媒体によらず相互に交換、蓄積、分析ができるようにし、個別最適化された学びや、主体的・対話的で深い学びの実現に役立てる。

 同省は教育データを▽児童生徒、教職員、学校などの、それぞれの属性の基本情報を示す「主体情報」▽学習内容などを示す「内容情報」▽何を行ったのかを示す「活動情報」――の3つに区分している。これまで「教育データ標準」(第1版)として、2020年10月に「内容情報」の一つである学習指導要領コードを、同年12月に「主体情報」の一つである学校コードを公表してきた。

文科省による教育データの分類

 今回公表された「教育データ標準」(第2版)では、児童生徒、教職員、学校といった「主体情報」のデータ入力ルールを中心に定めた。具体的には、属性などの基本情報を①児童生徒②教職員③学校④学校設置者――の4つのカテゴリーに分け、「①児童生徒情報」では性別、生年月日、在籍校、「②教職員情報」では教員免許、勤続年数、「③学校情報」では学校コード、児童生徒数、学級数、教職員数といったデータを扱っている。

 「④学校設置者情報」については調整に時間を要するため、今回は公表せず、調整ができ次第公表する。また来年秋をめどに、学校の出欠や健康状況などの生活活動、学習記録、成果物の記録、成績・評価情報などの学習活動、指導に関する行動の記録といった「内容情報」や「活動情報」に関するデータに関しても入力ルールを検討し、公開する。

 23日に開かれた文科省の「教育データの利活用に関する有識者会議」で、同省の担当者は「このデータを学校や自治体が収集しなければならないのか、という声がかなり寄せられているが、そういう性格のものではない。データを収集する際に、定義(表記や入力のルール)があるものは活用していただくと、相互互換性があって非常に便利になるということだ。また、自治体や学校独自のデータを扱いたい場合は、独自に定義していただくことを妨げるものではない」と留意点を示した。

 有識者会議の席上では、「教育データ標準化の目的や意義が、まだ各所に浸透していない」との意見が目立った。藤村裕一座長代理(鳴門教育大大学院教授)は「教育データ標準化は、自治体側がその目的を理解していかないと進まない。また、開発するベンダー側にもメリットがないと実装しないだろう」と指摘した。

 戸ヶ崎勤委員(埼玉県戸田市教育長)は、教育データ標準化の目的や方向性について触れ、「子どもたちが身に付けるべき資質能力を客観的に可視化できる評価の在り方を検討するべきだ。教育データを利活用することで、学習者自身が振り返りをできることが何よりも大事だと考えている。今後は教師からの評価だけでなく、例えば子ども同士の相互評価なども入れられると良いのではないか」と展望を述べた。さらに、データの活用に関して「校務支援システムの仕様に組み込む、都道府県単位の活用を推奨するなど、全国的な規格統一が進めば教育DXにもつながり、業務改善も進んでいくのではないか」と考えを述べた。

 橋田浩一委員(東大大学院教授)は「教育データの標準化をして、それを何に使うのかというユースケースがまだ見えてこない」と指摘。「例えば、各学習者が自分の学習履歴を把握して自分で評価し、次は何を勉強しようかと考えることができればよいのではないか。こうしたケースが一番分かりやすいし、他人に自分のデータを見せる必要がないので安全だ。学習者主導で教育データ標準を広めていくようなユースケースを重点的に作っていただきたい」と今後の取り組みについて求めた。

「教育データの利活用を議論した有識者会議」の座長を務める堀田教授(文科省YouTubeで取材)

 堀田龍也座長(東北大大学院教授)は「教育データの標準化、公表というのは少しでも早い方がいいと思っている。ただ、そもそも教育データ標準化は何のためのものなのか、そうした目的が分かるユースケースが一緒に示されるといい。そのためには活動情報を一部、先出しで見せる方がいいのかもしれない」との考えを示した。

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