校務デジタル化から学習利用まで 教育データ利活用ロードマップ公表

 デジタル庁は1月7日、文科省などと策定を進めてきた教育データ利活用のロードマップを公表した。短期的には学校現場の負担軽減につながる校務のデジタル化などを重点的に進め、中長期的には学習者である児童生徒が自らの蓄積されたデータを活用して「個別最適な学び」の実現につなげていく。個人情報の各機関との連携は原則として本人の同意を必要とするなど、個人情報保護に留意しながらデジタル社会を見据えた学習者主体の教育の実現を目指す。牧島かれんデジタル相は閣議後会見で、「新しいデジタル社会の中で子供たち一人一人が個性を生かして伸ばせるように、教育現場のデジタル化への環境整備を進めたい」と述べた。

教育データ利活用のロードマップについて説明する牧島デジタル相

 同庁は教育データの利活用に向けたロードマップの策定に向けて、文科省や経産省、総務省と共に、教育データの蓄積と流通の全体システムの将来イメージ(アーキテクチャ)づくりなどを進めてきた。同日公表したロードマップは、大きく3フェーズ(短期→中期→長期)に分けて教育データの利活用で目指すべき姿を示している。

 短期(~2022年頃)では、教育現場での調査や手続きを紙ベースから原則オンライン化とすることをはじめ、校務のデジタル化を進めて学校現場の負担軽減を図る。同時に一部で遅れているネットワーク環境の整備を進めてインフラ面の阻害要因を解消しつつ、利活用する教育データの基本項目について標準化を進める。

 中期(~2025年頃)では、児童生徒の1人1台端末が行きわたり教育データのログ収集が可能となることを見据え、児童生徒の学習内容や活動情報などのデータの標準化をさらに進める。これによって学校や自治体間でのデータ連携が実現し、学校や家庭、民間教育機関との間での学習支援が一部実現する。

 さらに長期(~2030年頃)では、児童生徒が蓄積された自らの学習・活動情報の混データを活用して学べる段階に進む。関係機関とのデータ連携も進んで支援を必要とする子供にはプッシュ型で支援することもできるようになり、「個別最適な学び」「協働的な学び」が実現されることを目指す。

教育データ利活用の各フェーズを示したロードマップ(デジタル庁資料から)

 教育データ利活用の主体は、学習者である児童生徒が中心となるが、学校現場の負担増になるのではないかと危惧する声があることを踏まえ、デジタル庁は「まず学校現場でデジタル化のメリットを享受してもらうことも優先したい」と話し、短期的には教育現場の負担軽減を重視する姿勢を示している。

 牧島デジタル相は会見で、「先生が本来目指している生徒と向き合う時間の確保につながるものであり、例えばGIGAスクール構想によりミニテストの採点時間を短縮したり、子供たちがつまずいている点をフォローしたりしやすくなる。教育のデジタル化は本来の教育に資するものになると考えている」と理解を求めた。

 またロードマップでは、1人1台端末が小中学校に続いて高校でも進んでいくことなどを見据え、最終的に教育DXの目指す姿として、「誰もが、いつでもどこからでも、誰とでも自分らしく学べる社会」の実現を目指すと掲げている。学校教育にとどまらず、児童生徒が、学びの成果などが蓄積されたPDS(パーソナルデータストア)をもとに、生涯にわたって学び続けられるような環境整備も進める。

教育DXにより将来的に目指す姿をイメージした図(デジタル庁資料から)

 さらにデジタル庁が中心となって進めている、教育・保育・福祉データを連携して貧困や虐待から子供たちを守るシステムとも関連付けて、支援が必要な子供へのプッシュ型支援につなげることも視野に入れている。

 牧島デジタル相は「ロードマップを決定して終わりでなく、具体的な施策をどうつくっていくのか関係省庁で連携して進めたい」と述べ、今後、ロードマップに沿って各省ごとに取り組むべき施策づくりを進める考えを示した。関係省庁は、今後、学習者である児童生徒をはじめ、教職員や保護者、教委などの意見を聴きながら教育データの利活用に関わる事業を推進していく。

 教育データ利活用のロードマップは、同庁のホームページで公表されている。

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