大学入試の救済策「楽にはならない」文科省が追加説明

 大学入学共通テストの本試験が今週末に迫る中、文科省が新型コロナウイルスの感染急拡大を受けて各大学に通知した受験機会の確保について、同省は1月12日、受験生に向けた追加説明(Q&A)を同省ウェブサイトで公開。共通テストを本試験・追試験とも受験できなかった受験生に対し、個別試験のみで合否判定するなどの救済策について、対象者の数が極めて限定的になると考えられること、医師の診断書の提出などを原則として求めること、大学側で厳格な判定を行うことなどから、「今回の措置で(大学入試が)楽になることはない(同省大学振興課)」と改めて説明し、不公平が生じないように措置していることを強調した。

 これに先立ち、文科省は11日、共通テストで本試験・追試験のいずれも受験できなかった受験生が出た場合に、個別学力検査や調査書などにより合否判定を行うことを各大学に要請。一方、個別学力検査で本試験・追試験のいずれも受験できなかった場合には、大学入学共通テストを受験していればその結果と調査書などで合否判定し、していなければ再度の受験機会を設けることなども求めた。

 これに対し、「共通テストの受験ができないとは、どのようなケースなのか」、「共通テストをわざと受験せず、個別試験だけを受験した方が有利になるのではないか」といった反応がインターネット上などで上がったことなどを踏まえ、同省は「受験生に特に心配があろうという部分」(同省)について、Q&Aによる説明を公開した。

 それによると、今回の措置が「万が一感染することがあっても、受験機会自体を失うことができる限りないよう、今年度に限り例外的に行うもの」と明記。対象者は「新型コロナウイルスに羅患(りかん)した受験生や濃厚接触者となった受験生」とし、「新型コロナウイルス以外の病気、けがなどを理由として本試験も追試験も受験できなかった場合は、今回の例外的な措置の対象外」とした。

 また、「個別試験だけを受験した方が有利になるのではないか」という問いに対しては、事後であっても原則として医師の診断書などの提出や、保健所の名称の申告を求めるとして、「本人が、有利になるからというような理由で意図的に共通テストを受験しない方法を選択できるようになるものではない」と回答した。

 同時に大学側でも「共通テストを受験した他の受験生の能力と比較して、十分それを上回る能力を有するかどうかを慎重かつ厳格に判定するものと考えられる」とし、「今回の措置により、判定基準が易しくなって、当該受験生が本人の能力と関わりなく有利になるようなことはない」と、不公平を指摘する声に反論した。

 同日、記者会見した文科省の新田正樹大学振興課長は「共通テストでは本試験、2週間後の追試験の機会を設けており、また個別試験でも99%の大学が追試験や振り替え受験といった救済策を設けている。ほとんどはここで救えるだろうが、一方でわざわざ設けた追試験の機会に、オミクロン株による第6波のピークがぶつかる可能性もあり、現状の枠組みのさらに外の救済策を、あらかじめ検討していただきたいということだ」と説明し、11日の通知に理解を求めた。

 さらに、大学入学共通テストを受験せず個別試験のみを受験することによる公平性の問題については「大学側が厳格な判定を行うことは自明なことで、今回の措置で楽になることはない」と説明。今回の措置の対象となる受験生が出る可能性が極めて限定的であり、さらに各大学に分散することから「他の受験生と比較した上での個別判断とするのが基本的な考え方」と述べた。

文科省による「受験機会の確保に関するQ&A」は次の通り。

Q1 なぜ今回の受験機会の更なる確保についての方策を講じるのですか。また、なぜ新型コロナウイルス感染症に羅患した受験生や濃厚接触者となった受験生だけが受験機会確保の対象となるのですか?
A1 今回の措置は、感染力が高いと言われるオミクロン株による感染が急拡大しているという現下の状況を踏まえ、新型コロナウイルス感染症がなければ、受験機会を失うことのなかった受験生を最大限救済することを目的として行うものです。
受験生の皆さんが感染の不安を抱えながら入試シーズンを迎える中、万が一感染することがあっても、受験機会自体を失うことができる限りないよう、今年度に限り例外的に行うものですので、新型コロナウイルス感染症に羅患した受験生や濃厚接触者となった受験生を対象としています。
なお、共通テストは、本試験の2週間後に追試験を設定しており、また、各大学の個別試験についても、約99%の大学で追試、振替受験の機会が設定されていますので、既に用意されている試験日程を新型コロナウイルスの影響で受験できず、今回の措置の対象となるような受験生が出る可能性は極めて限定的であると考えられます。

Q2 共通テストの本試験と追試験の両方が受験できずに、大学の個別試験を受験できるのはどういう場合ですか?
A2 今回の措置は、新型コロナウイルス感染症がなければ、本試験又は追試験のいずれかが受験できた者を救済することを目的としています。このため、新型コロナウイルス感染症に羅患したこと、若しくは保健所より濃厚接触者に該当すると伝えられ、別室受験の条件を満たすことができなかったことを理由(試験当日までにPCR検査の結果が陰性であることが判明しないなど)に、
①本試験及び追試験のいずれも受験できなかった者
②本試験若しくは追試験のいずれかが受験できなかった者のうち、もう一方の試験も病気、けがの他、やむを得ない理由により受験できなかった者(※やむを得ない理由については大学入試センターから公表されている「受験上の注意」をご確認ください)。
が対象です。
共通テストや個別試験を受験できなかった場合については、新型コロナウイルス感染症に羅患した場合や病気、けが等の場合は医師の診断書等の提出、保健所より濃厚接触者に該当すると伝えられた場合は該当の保健所の名称等の申告が求められます。新型コロナウイルス以外の病気、けが等を理由として本試験も追試験も受験できなかった場合は、 今回の例外的な措置の対象外となります。

Q3 共通テストを受験せずに各大学の個別試験だけ受験した方が有利になるのではないでしょうか?
A3 今回の措置は、共通テストを受験できなかったことについて、新型コロナウイルス感染症に羅患し、又は保健所より濃厚接触者に該当すると伝えられたというやむを得ない事情がある者を対象に、医師の診断書の提出あるいは該当の保健所の名称等の申告を求めて行うものであり、本人が、有利になるからというような理由で意図的に共通テストを受験しない方法を選択できるようになるものではありません。
また、共通テストの得点と個別入試の得点の扱いや、合否判定の基準をどのように設定するかは、各大学が決定することですが、各大学は、共通テストの成績で確認したかった学力も含め個別試験だけで合否判定することになりますので、 各大学においてはそのことを踏まえ、当該大学に入学し、共通テストを受験した他の受験生の能力と比較して、十分それを上回る能力を有するかどうかを慎重かつ厳格に判定するものと考えられます。ご指摘のように今回の措置により、判定基準が易しくなって当該受験生が本人の能力とかかわりなく有利になるようなことはないと考えています。

Q4 今回の措置で、共通テストを受験せずに各大学の個別試験だけ受験する者や、再追試を受験する者がいると、本来の試験で受験する者の合格枠が減ってしまうのではないか不安です。
A4 合格者数の決定は、 最終的には大学の判断になりますが、今回の措置の対象となる受験生の合否判定については、本来の募集人員の枠外で行うことを可能とする措置を講じています。

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