教師である息子の悩みきっかけに 平行線を引ける教具を発明


 音楽や外国語の板書での教師の悩みを解決する教具が、注目を集めている。大阪府で「どれみ教材開発」の代表を務めている長岡雅子さんは、小学校の教員をしている息子の相談事をきっかけに、黒板に複数の線を一度に引ける教具「チョークライナー」を開発。特許も取得して、現在では全国の小中学校などで活用が広がっている。困っている教師をちょっとしたアイデアで助けたいという「チョークライナー」に込めた長岡さんの思いを取材した。

教師をしていた息子の困りごとがきっかけに

 「音楽の授業で、子供たちに譜読をさせようと板書に5つの平行線を引くのが大変だ。時間もかかるし、その間に子供たちの集中力も途切れてしまう」

黒板に平行線を簡単に引ける「チョークライナー」(どれみ教材開発提供)

 もともと、音楽教室の講師の経験を基に、無料の音楽教材をホームページで公開するなどの活動をしていた長岡さん。「チョークライナー」の開発は、小学校の教師をしていた息子との何気ない会話から始まった。最初は「チョークをクリップか何かで挟めば簡単にできるのではないか」と考え、いろいろと試してみたが、実際にやってみるとチョークが折れてしまったり、それぞれ減り方も違ったりしてうまくいかなかったという。

 そんなあるとき、自宅に届いた宅配便の箱に入っていた緩衝材が長岡さんの目に飛び込んできた。「これならチョークは折れないのではないか」と、すぐに近所のホームセンターに向かい、緩衝材に近い素材を探し出した。また、チョークの長さが違う問題は、差し込み口の先にスポンジを取り付けることで、黒板に当てたときに長さが違っても必ず当たるようにすることで解決された。

 早速、試作品を息子が学校に持っていくと、同僚の教師からも大好評。申請していた特許も無事に取得することができ、商品化にこぎ着けるとともに、「どれみ教材開発」を立ち上げることにした。

音楽だけでなく英語のニーズにも応えて改良

 完成した「チョークライナー」には、5つの等間隔に空いた穴があり、そこにチョークを差し込んで黒板に押し当てながら横に動かすと、きれいな平行線が描ける。70~80グラムと軽く、背面にマグネットが付いているので、そのまま黒板に貼り付けて管理することができる。刺してあるチョークが落ちたり折れたりしにくい構造になっていて、素材には壊れにくくて軽いポリエチレンフォームを使っている。本数や色を変えて、いろいろな教科やシーンで使うこともできる。

「チョークライナー」の特徴を説明する長岡さん(Zoomで取材)

 当初は音楽の授業で使うことを想定していた「チョークライナー」だが、実際に販売が始まると、小学校で教科化されたばかりの外国語でのニーズが高いことが分かった。小学校の外国語の教科書では、アルファベットの練習をする際に、2本目と3本目の間隔が広くなっているものがあることから、それに対応した英語専用の「チョークライナー」も開発。今では、年間1300~1500個が売れる隠れたヒット商品になっている。小中学校だけでなく、教職課程を置く大学などからも、実習用で使いたいと問い合わせが来ることもあるという。

 「最初に使って見せると、子供たちから驚きの声が上がるそうだ。でも、これが当たり前に使えるようになると、さらにうれしい。工夫次第でいろいろな教科で使える教具になるので、物差しやコンパスみたいに教室に1個あるととても便利だと思う」と長岡さん。現在も「チョークライナー」に次ぐ教師の役に立つ新たな商品開発に余念がない。

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