地域と連携する大槌高校 復興研とはま研の探究を発表

 地域と連携した探究的な学びを展開していることで知られる岩手県立大槌高校(継枝斉校長、生徒149人)は1月12日、これまでの探究の学習成果を発表する「地域協働研究協議会」をオンラインで開催した。課外活動として、東日本大震災後の大槌町の風景を定点観測する活動を続けている「復興研究会」や、同町にある東京大学大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センターと連携した「はま研究会」の取り組みが紹介され、地域連携の関係者らが、高校と地域が連携した探究活動の可能性について意見交換した。

大槌町の様子を定点観測で記録し続けている「復興研究会」の活動についての発表(Zoomで取材)

 2019年度から文科省の「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」に指定されている同高では、学校設定科目として「三陸みらい探究」が3年間を通じて5単位設定され、地域と高校をつなぐコーディネーターである魅力化推進員が配置されるなど、地域と連携した教育活動を積極的に展開している。その一つに、部活動と兼ねて参加可能な課外活動として、「復興研究会」と「はま研究会」がある。

 この日の研究協議会では、両研究会の活動を踏まえ地域資源を生かした学びについて考える分科会が設けられ、両研究会で活動する生徒がそれぞれの取り組みを報告した。

 「復興研究会」は、東日本大震災の津波の被害から再生されていく大槌町の様子を記録していこうと、13年から町役場などと連携して、町内約180カ所で年に3回、定期的に写真を撮影したり、震災の伝承をテーマに町内の子どもたちや県内外の高校生と交流したりしている。2年生の小林瑚々さんは「定点観測の回数を重ねていくと、その場所の小さな変化に気付けるようになり、見る目が変わってくる。退屈に感じることもない」と、その意義を強調する。

 もう一方の「はま研究会」は昨年度に発足したばかりだが、国際沿岸海洋研究センターに所属する研究員が行っている研究活動を高校生が手伝いながら、海や地域への問題意識を高めている。現在は「アワビの殻にあるマダコの穿孔痕調査」など、8つの班に分かれて専門的な研究に携わっている。

 1年生の上田魁翔さんは「今までは、研究者が自分とは遠い存在だと感じていたが、研究テーマについて教えてもらううちに身近に感じられるようになり、大学に行きたいと強く思うようになった」と、自分自身のキャリア観にも良い影響をもたらしている点を挙げた。

 「はま研究会」の顧問をしている同高の遠藤宗啓教諭は「学校の中だけで教えることには限界がある。学校が地域に頼るのは恥ずかしいことではなく、もっと頼っていいと感じている。地域とやりとりをしながら、生徒を指導するのではなく、生徒と一緒に学んでいくのが教員の役割だと思う」と話した。

 また、国際沿岸海洋研究センターの青山潤センター長は、大学の研究機関も地域との関わりが求められているとした上で、「『はま研究会』は、私たち研究者の背中を見てもらいながら一緒にやるスタンスだ。大槌高校の生徒はニコニコしながら手伝ってくれているが、私たち自身にも多くの気付きがあり、研究者としての幅が広がっている」と、連携する地域側のメリットについて語った。

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