休校時のオンライン授業「準備進める」 岸田首相が施政方針

 第208回国会が1月17日召集され、岸田文雄首相は衆参両院の本会議で、首相就任から初めてとなる施政方針演説を行った。演説では、新型コロナウイルスのオミクロン株による感染急拡大を踏まえ、「お子さんの感染も多く見られる」として、12歳未満の子供の希望者にワクチン接種を進める考えを示すとともに、学校の対応として「休校時のオンライン授業の準備を進める」と表明。入試について「追試などにより受験機会を確保するとともに、4月以降の入学を可とするなど、柔軟な対応を要請する」と述べた。また、少子化対策や子供政策の積極的な推進を「喫緊の課題」と位置付け、「こども家庭庁」を創設して、性犯罪歴の証明を求める日本版DBS、教育・福祉・家庭を通じた子供関連のデータ連携、地域における障害児への総合支援体制の構築に取り組む考えを説明した。

岸田首相の施政方針演説が行われた衆院本会議

 施政方針演説に臨んだ岸田首相は、まず、首相就任後の日々について、「『行蔵は我に存す』。それぞれの決断の責任は、自分が全て負う覚悟で取り組んできた」と、幕末維新期に活躍した勝海舟の言葉を引用しながら振り返り、「新型コロナという困難に直面しているからこそ、立ちすくむのではなく、皆で協力しながら、挑戦し、コロナ後の新しい日本を創り上げていこうではないか」と、国民に呼び掛けた。

 次に、オミクロン株への対応について、「これまで政府は、G7で最も厳しい水準の水際対策により、海外からのオミクロン株流入を最小限に抑えてきた」として、当面の対応として2月末まで現在の水際対策を継続する考えを示した。その上で、感染力が高い一方、重症化率が低い可能性が高く、同時に高齢者に急速に感染が広がると、重症者が発生する割合が高くなる恐れがあるとの専門家の分析に言及。「リスクが高い方々に、的確に医療を提供することを主眼に置いて、医療提供体制を強化する。即応病床数の確保は順調に進んでいる」などと説明した。

 ワクチンについては、医療関係者や高齢者3100万人を対象とする3回目接種の前倒しをペースアップさせ、5500万人の一般向け接種も「少なくとも7カ月、余力のある自治体では6カ月で接種を行う」と説明。子供のワクチン接種についても「オミクロン株は、お子さんの感染も多く見られる。これまでワクチン接種の対象ではなかった12歳未満の子どもについても、希望者ができるだけ早くワクチン接種を受けられるよう、手続きを進める」と述べた。

 学校や入試への対応では「学校においても、休校時のオンライン授業の準備を進める。入試については、追試などにより受験機会を確保するともに、4月以降の入学を可とするなど、柔軟な対応を要請する」として、GIGAスクール構想で整備した1人1台端末を活用した休校時の学びの保障や、入試における受験機会の確保に取り組むよう、自治体の教育委員会や学校関係者に求めた。

衆院本会議で施政方針演説を行う岸田首相

 岸田政権の看板政策である「新しい資本主義」の実現については、「成長と分配の両面から経済を動かし、好循環を生み出すことで、持続可能な経済を作り上げる」と強調。成長戦略として、デジタルを活用した地方の活性化としてデジタル田園都市国家構想の推進、経済安全保障、科学技術・イノベーションの強化を挙げた。分配戦略では、所得向上につながる賃上げ、人への投資の抜本強化、未来を担う次世代の「中間層の維持」として、子育て・若者世代に焦点を当てた世帯所得の引き上げに取り組む考えを示した。

 また、少子化対策やこども政策を「喫緊の課題」と指摘。「こども政策をわが国社会のど真ん中に据えていくため、『こども家庭庁』を創設する」と改めて表明した。具体的な取り組みとして「縦割り行政の中で進まなかった、教育や保育の現場で性犯罪歴の証明を求める日本版DBS、こどもの死因究明、制度横断・年齢横断の教育・福祉・家庭を通じたこどもデータ連携、地域における障害児への総合支援体制の構築を、こども家庭庁が主導して進める」と説明した。

 今国会の会期は、6月15日までの150日間。政府与党は「7月10日投開票」が有力とされる参院選への影響をにらみながら、政府提出法案を58本に絞っている。小学校高学年の教科担任制導入に伴う教員加配などを盛り込んだ2022年度政府予算案のほか、教育や学校の関連では、教員免許更新制を7月1日付で廃止することを定める教育職員免許法改正案や、子供関連政策を一元的に担うこども家庭庁の設置法案などが提出される。与野党による論戦では、オミクロン株への政府の対応などが争点となるとみられる。

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