新しい資本主義「教育投資の強化が不可欠」 参院代表質問

 岸田文雄首相は1月20日、参院の代表質問で、看板政策である「成長と分配による新しい資本主義」の実現に関連し、「始動した成長と分配の好循環の流れを加速していくための鍵は、日本の未来を担う子育て若者世代。大きな意味での人への投資を集中していきたい」と答弁し、教育費の負担軽減と、小学校の35人学級や教科担任制の導入など教育環境の整備を進める考えを示した。これに関連し、末松信介文科相は「成長と分配の好循環による新しい資本主義に向けては、教育投資のさらなる強化が不可欠」と述べ、教育予算の確保に取り組む考えを強調した。

参院で代表質問に答える岸田首相(参議院インターネット審議中継)

 岸田首相は、日本の教育投資が先進国の中で低水準となる中、「新しい資本主義」と未来に向けた教育投資の考え方を問われ、「新しい資本主義の実現に向けて、官と民がそれぞれへの役割を果たし、社会課題を解決しながら、成長と分配の好循環を生み出す持続可能な経済を目指す。成長戦略として、デジタル化、気候変動問題への対応、経済安全保障など、世界的な潮流の中で、わが国が克服しなければならない新時代の課題を、これからの成長分野にしていくという発想で取り組み、弱点を新時代の成長のエンジンとしていく」と説明。

 その上で、「始動した成長と分配の好循環の流れを加速していくための鍵は、日本の未来を担う子育て若者世代であり、大きな意味での人への投資を集中していきたい」と表明し、「このため、教育への投資の観点からも、教育費の負担軽減、小学校の35人学級や高学年における教科担任制、GIGAスクール構想の推進など、教育環境の整備を図っていく」と述べて、成長と分配の好循環を持続させるためには、子育て世代の教育費の負担軽減や、教育環境の整備が必要だという考え方を示した。

 これに関連し、末松文科相は「わが国の教育に関する財政支出の対GDPが、OECD諸国中、1位のノルウェーの7.4%、OECD諸国の平均4.4%と比べて、3.0%と低い水準にあることは事実」と教育投資を巡る国際比較を説明した上で、「成長と分配の好循環による新しい資本主義に向けては、教育投資のさらなる強化が不可欠」と答弁した。

参院で代表質問に答える末松文科相(参議院インターネット審議中継)

 これまで取り組んできた教育投資の拡充策として、幼児教育・保育の無償化、高等教育の修学支援新制度など経済的負担軽減策、GIGAスクール構想、小学校35人学級の計画的な整備などを列挙。今後の対応としては▽小学校高学年における教科担任制▽10兆円規模の大学ファンドの創設▽イノベーション人材の育成に向けた大学の学部再編▽文系理系の枠を超えた人材育成▽地域の課題解決に貢献する人材の育成▽デジタルトランスフォーメーションなどの成長分野を中心としたリカレント教育の充実--に取り組む考えを説明した。

 続けて「人への投資を通じて成長を生み、その果実を分配にあてることで、さらなる成長を生む。成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現をするため、教育予算を着実に確保していく。その努力を続ける」と述べた。いずれも松山政司議員(自民)の質問に答えた。

 岸田首相は、GIGAスクール構想に関連して、インターネット社会で正しい情報を見極めるメディアリテラシー教育について質問され、「デジタル田園都市国家構想の実現において、教育分野のデジタル化は重要な課題。各学校段階でメディアリテラシーを含む情報活用能力は、しっかり育成していく」と答えた。

 また、教育データの利活用について、保存されたデータが差別や人権侵害の助長につながる恐れを指摘され、「教育データの利活用については、安易な利用により、本人が不利益を受けることがないよう、個人情報保護のルールに沿って丁寧に検討を進めていく」と応じた。水岡俊一議員(立民)の質問に答えた。

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