人材育成の論点を総論と各論に整理 教育未来創造会議WG

 政府の教育未来創造会議は1月24日、人材育成への投資や大学の機能強化などについて専門的な検討を深めるワーキング・グループ(WG、座長・清家篤・日本私立学校振興・共済事業団理事長)の初会合を開き、内閣官房の担当室が前回の議論を踏まえ、今後の方向性を整理する論点案を提示した。それによると、総論は、基本理念、あるべき社会像、目指すべき人材育成に向けた方向性--の3つに整理。各論では、産官学での取り組み、大学の機能強化、学びの支援の充実、学び直し(リカレント教育)の推進--の4つのカテゴリーに分けて議論を進める。この日の会合では、それぞれの論点について、有識者がフリートーキングの形で意見を述べた。

教育未来創造会議WGであいさつする末松文科相

 論点案では、総論の中で、基本理念について「教育による未来の個人の幸せ、社会の未来の豊かさの創造」「教育投資の重要性」などを掲げ、あるべき社会像として「一人一人の多様な幸せと社会全体の豊かさの実現」「多様な人材が能力を最大限発揮できる社会」などを挙げた。担当室によると、出席者から「一人一人の多様な幸せと社会全体の豊かさという考え方は、まさにウェルビーイングにほかならない。その実現のために何ができるか考えることが重要だ」との指摘が出た。

 目指すべき人材育成に向けた方向性としては「好きなことにのめりこむ、深く掘り下げる、ビジョンをつくり上げることができる人材の育成」「夢を描いて技術的に解決し、パッケージングできる人材の育成」「予測不可能な時代に必要な文理の壁を越えた普遍的知識・能力を備えた人材の育成」といった指摘が並んだ。これに対し、出席者からは「生涯にわたる能力開発は不可欠。教育の果たす役割はますます大きくなる」との意見や、「論理的思考力と規範的判断力が必要。専攻する分野だけでなく、他分野についても複眼的に学び、批判的な思考力を養うことが重要だ」といった見解が示された。

 論点案の各論では、産学官で取り組むべき内容として「産学官が目指すべき人材育成の大きな絵姿の提示」「産業界、地域で必要とされる具体的な人材像、学びニーズの提示」などと、これから求められる人材育成の全体像、具体的な姿を分かりやすく提示する必要が強調された。

 大学の機能強化では、「重点分野をけん引する人材育成の促進」として大学設置要件の見直しや、先導的に再編に取り組む大学への重点的な支援が取り上げられたほか、社会人向け教育の充実・強化や女性活躍プログラムの強化も挙がった。初等中等教育改革では、理数・情報、ものづくり、課題解決型、探究教育などが論点とされている。

 学びの支援の充実には、岸田文雄首相が掲げる「大学卒業後の所得に応じた『出世払い』を含む、教育費等への支援」が盛り込まれたが、同時に「恒久的な財源の裏付けの観点を念頭に置く必要」と財源確保が条件になることも明記された。出席者からは「特に博士後期課程学生の支援が不十分」との問題意識が示された。

 論点案ではまた、リカレント教育について「DXを活用した教育体制の構築、高齢者等のデジタル活用支援」「費用、時間などの問題を解決するための支援」「企業などによる人材育成への支援」など、社会人の学び直しに対する支援策を求める項目が並んだ。出席者からは「リカレント教育を行っても、日本の企業は、ブランクのある人の採用に慎重ではないか。給料が上がる保証も、元の職場に戻れる保証がない。リカレント教育のために職場を離れても、本人が希望すれば元の職場に戻れるような制度が必要ではないか」といった意見が出た。

 教育未来創造会議は今年初夏に第1次提言をまとめ、岸田首相に提出する。提言内容は6月に閣議決定される「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針)に盛り込まれ、来年度予算編成の施策に反映される。

教育未来創造会議のワーキング・グループで示された論点のカテゴリー

【総論】

  • 基本理念
  • あるべき社会像
  • 目指すべき人材育成に向けた方向性

【各論】

  • 産学官で取り組むべき論点
  • 大学等の機能強化に向けた論点
  • 学びの支援の充実に向けた論点
  • 学び直し(リカレント教育)の推進に向けた論点

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