児童生徒、オミクロン株からどう守る? 専門家に聞く

 全国で急拡大するオミクロン株は、ウイルスの特性など、いまだに不明瞭な部分も多い。子どもへの感染が日に日に増え、学級閉鎖や臨時休校が後を絶たない中、教育現場では感染対策に苦慮する日々が続いている。子どもの感染症の専門家であり、新潟県新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の委員である齋藤昭彦・新潟大学医学部小児科教授に、オミクロン株の特徴や感染防止策、さらにこの困難下で学校運営を成り立たせるポイントについて聞いた。

子どもの感染「かなり増えている」

――オミクロン株の特徴を教えてください。

齋藤昭彦・新潟大学医学部小児科教授

 これまでの変異ウイルスの中でも、感染力の高さが際立っています。ワクチンを2回接種したとしても、ある程度の時間が経過すると、効き目が弱くなっている傾向もみられます。一方で、これまでのウイルスと比べると、成人では重症化率が低いという見立てです。ただ、感染した人のほとんどがワクチン接種済みであること、若い人であることから、軽く見えているのかもしれません。

 また、これまでと比べ、発熱や喉の痛みなど症状が出やすい特徴もあるようです。ただ通常の風邪と症状が似ており、新型コロナとしての特徴的な所見がないので、見分けが難しい側面もあります。

――子どもの感染も広がっています。

 はい、かなり増えています。これまで以上に園の閉鎖や小中高の学級閉鎖、学校閉鎖が全国的に拡大しています。特にこれまでワクチン接種の対象ではなかった、11歳以下の年齢層で広がっているように感じます。

 子どもたちはこれまでも、頑張って感染対策に取り組んできました。一部の地域や学校でクラスターは発生しつつも、何とか持ち堪えていたように思います。ただオミクロン株がまん延してきて、様相が変わってきました。子ども同士の感染や、子どもから大人に伝播するケースも日に日に増えています。

――厚労省は、ワクチンの対象年齢を5~11歳にも広げました。どのように見ていますか。

 これまで選択肢がなかった年齢層に接種対象が広がったことは、とてもよいことだと捉えています。日本小児科学会も、子どもに対して接種意義があること、重症化リスクを軽減するメリットなどを含めた声明を発表しています。この世代にワクチン接種が広がることが、オミクロン株のさらなる拡大を防ぐ策の一つになるのではないかと、期待されています。

 日本小児科学会発出の提言は、公式HPで確認できます。

――感染力の高いオミクロン株に対して、学校は感染対策に苦慮しています。

 即効性のある対応は難しいというのが正直なところです。

 その中で一つ言えるのは、子どもの感染を防ぐにあたり、まず保護者が感染しないというのが鉄則です。学校にウイルスを持ち込まないために、保護者の方が感染リスクのある行動を避けることが必要です。感染した症例を見ていると、飲み会やパーティーなど、マスクを外して飲食を伴う場で感染したケースが目立ちます。大人たちに、しばらくはそういった場所へ足を運ぶのを控えてもらいたいです。

 また、前述のとおり、今回の症状は風邪との見分けがつきにくい傾向にあります。そのため、子どもが少しでも体調に異変を感じているようなら、登校しないことも大切です。また学校側は登校後、体調不良が見られる児童生徒がすぐ帰宅できるように、日常的に校内の体制や家庭との連携を見直しておく必要があるでしょう。

職員室の環境こそ見直して

――教員間での感染や濃厚接触に対しても、危機感が高まっています。

 ある学校では、教員複数でマスクを外して一緒に昼食をとったところ、感染者が出ました。結局、教員のほぼ全員が濃厚接触者となってしまい、教委からサポートの人員が送り込まれたと聞きました。

 また、学校で発生したクラスターの調査で、これまで学校現場の状況を聞く機会が何度かありました。そのとき特に気になったのが、職員室の環境でした。

 教員の皆さんは児童生徒が使う教室では、換気や飛沫(ひまつ)飛散の防止、人と人の距離を取るなど、意識を徹底されているように思います。一方で、職員室では、教室ほど感染対策やその意識が行き届いていないように見えます。

 多くの学校では、職員室のスペースは広いとは言い切れないでしょう。その中でもパーテーションを設けるなど、なるべく距離をとりながら業務に当たる方法を検討していただきたいです。また意識して、定期的に換気することも大切です。会議や研修で複数の教員が1つの部屋に集まることも多いかと思います。ぜひ、オンラインを活用して各教室をつなぎながら実施するなど、日常業務の中でいかに密をつくらないか意識していただきたいです。

――オミクロン株は軽症だと楽観的な意見も聞こえます。

 一般的にはそのような意見もありますが、オミクロン株が国内でまん延し始めてまだ数週間しかたっていません。感染者が多くなった時にどのような症例が出るのか、子どもにはどのような病態、合併症が見られるかなどは、まだ注視していかなければなりません。例えば、これまでの新型コロナウイルスの子どもの合併症として、小児多系統炎症性症候群という命に関わるものがあります。オミクロン株で発生しないかなど、専門家としては今後も注意深く見ていきます。

 国内はもちろん、米国など海外においても、オミクロン株についての小児のデータは十分に集まっていないのが現状です。通常の風邪と同じ、子どもが感染しても大丈夫だと確信することはまだできません。

(板井海奈)

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