小児科医と学校の連携で調査 サービス残業状態を指摘

 日本小児科学会は1月26日、同学会員に対して行った学校などとの連携の実態に関する調査結果をまとめた報告書を、同学会ホームページで公表した。学校現場との連携が医師の勤務時間外に時間外手当が付かない状態で実施されているケースが見られることや、学校現場と連携しても保険点数に算定されず、連携の多くが医師の熱意とサービス残業に依存している状態にあると指摘した。

 同学会が小児科医と学校現場の連携について、全国的な実態調査を行ったのは今回が初めて。一次調査として2020年3~7月に、学会員を対象にウェブアンケートを実施。幼稚園・保育所、小、中、高校、特別支援学校、大学、フリースクールと、どのような内容で連携を行っているかを聞き、1253人から回答を得た。その上で、さらに具体的な連携の実態を探るため、同年9~10月に二次調査のウェブアンケートも行い、330人が回答を寄せた。

 一次調査で連携の経験があるものを疾患別に複数回答で尋ねたところ、▽精神・行動異常 49.7%▽遺伝・先天奇形・染色体異常 27.6%▽呼吸・アレルギー 24.1%▽神経筋疾患 23.3%▽先天性代謝異常症・内分泌疾患 18.4%▽循環器疾患 13.4%▽栄養障害・代謝性疾患 13.2%▽血液・腫瘍疾患 12.2%▽新生児疾患 10.3%――があった。

 最近1年間の1カ月あたりの平均で、学校との連携に要した時間は、1時間以内~48時間とばらつきがあり、中央値は1時間だった。連携を行う時間帯は「必ず勤務時間内に行う」は44.4%、「必ず勤務時間外に行う」は8.3%、「勤務時間外に行うこともある」は47.3%だった。勤務時間外に連携した場合の手当については、「時間外手当を受けていない」が54.9%で、「時間外手当を受けている」(17.1%)や「(年俸制などで)時間外手当がない」(28.0%)を上回った。

小児科医が学校と連携を行う時間帯(日本小児科学会報告書を基に作成)

 また、連携する際に知っておくべき学校現場の状況について、二次調査の自由記述からは、学校現場との連携で診療点数を算定できない問題を指摘する声のほか、「医療者は学校現場をもっと知らないといけない」「教育現場には医療とは別の文化や価値観があり、それらを尊重して連携する」「医療の都合による一方的な提案をせず、win-winな連携を目指すべき」など、学校現場を医師が理解する必要性を挙げる声もあった。

 こうした結果を踏まえ、報告書では▽学校健診に心の問題を取り入れる▽医師会と文科省が学校保健に関する協議会を設置し、小児科関連学会が専門性に応じた役割を果たす▽学校との連携で診療点数を算定できるように働き掛ける▽教育関係者に、学校現場の実情と医療へのニーズ調査を求める――ことなどを提案した。

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