学校健診情報をPHRに活用 早期実現へ検討会議が初会合

 生涯にわたる個人の健康情報を電子記録として把握できるよう、政府が構築を進めている「PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)」の仕組みに、学校健康診断(学校健診)の情報を効果的に活用することを目指し、文科省は1月26日、「学校健康診断情報のPHRへの活用に関する検討会」の初会合を開いた。同省では来年度から、学校健診情報を保管する専用サーバーを構築する予定となっており、その管理・運用体制について、今年度内に議論を取りまとめる。

「学校健康診断情報のPHRへの活用に関する検討会」の進行を務める藤村座長(中央上部、オンラインで取材)

 初会合では、学校健診情報を保管する専用サーバーの管理・運営はどのような機関が担うべきかなどが検討された。東邦裕委員(全国学校保健主事会会長)は「学校健診情報のPHRは、学校保健の領域と医療・健康政策の領域が重なる取り組み。双方の知見を有している機関が担うべきだ」と強調した。

 半澤郁子委員(全国学校保健・養護教諭担当指導主事会会長)は「実際に運用してみると分からないことが多いと思うので、スムーズに質問できたり、確認できたりするようなサポート体制が必要だ」と指摘した。

 さらに、小林幸恵委員(全国養護教諭連絡協議会会長)は「学校健診の結果については、電子データで保存している学校、紙媒体で保存している学校など実態はさまざまで、地域差もある。今後、学校健診結果の標準的な様式を図っていく上では、現場の養護教諭の意見を聞いていただけるような場を設けてほしい」と要望した。

 文科省の担当者は「学校健診のPHRは医療・健康と、学校教育のデジタル化の両方の観点から進めていくことだ。働き方改革なども念頭におきながら取り組んでいきたい」と話した。

 PHRは、生まれてから学校、職場など、生涯にわたる個人の健康情報を、マイナポータルなどを用いて電子記録として本人や家族が正確に把握する仕組み。例えば、病院での受診時に簡単に情報を共有でき、医師などとの円滑なコミュニケーションが可能となることで、より適切な治療が受けられることなどが期待されており、2021年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太の方針)で「22年度までに集中的な取り組みを進める」とされた。

 厚労省が所管する乳幼児健診ではすでにマイナポータルでの閲覧がスタートしているが、それに続く小学校入学後の健診データは、各自治体や学校が独自に保管しているケースが多い。昨年12月に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」では、学校健診情報が閲覧できる仕組みを22年度以降の早期に実現することを目指し、必要な法制上の対応やシステム改修を行うとされている。

 文科省では今年度、学校健診の結果を実際にマイナポータルで閲覧可能とすることを実証する調査研究事業を実施している。来年度はその結果を踏まえ、学校健診情報を活用したPHRの本格的実施に向けて、学校健診情報を保管する専用サーバーを構築する予定となっている。来年度中に学校健診情報を電子化し、他の健診情報と一覧性を持って提供できるようにする。

 同検討会議の委員は次の通り(敬称略)。

 ▽小林幸恵(全国養護教諭連絡協議会会長)▽高橋邦夫(合同会社KUコンサルティング代表)▽半澤郁子(全国学校保健・養護教諭担当指導主事会会長)▽東邦裕(全国学校保健主事会会長)▽藤村裕一(鳴門教育大学大学院遠隔教育プログラム推進室長)。座長は藤村・鳴門教育大大学院室長。

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