教員採用、大学3年で1次試験も 文科省が見直し案提示

 教員の人材確保を専門的に議論する中教審の基本問題小委員会は1月31日、オンラインで第2回会合を開き、文科省が席上、教員採用選考試験の見直しに向けた検討の方向性を提示した。教育委員会と大学・教職大学院の連携促進や、「教師養成塾」などの実績に基づいた人物重視の採用選考、大学3年時に1次試験を受験可能にするなど、教員採用選考試験の実施スケジュールの柔軟化などを検討する考えを説明した。審議では、教員養成セミナーや教職大学院との連携で先行する教委から事例報告が行われた。

 文科省が示した資料「公立学校教員採用選考試験の在り方と教育委員会による採用の取組」では、教員の人材確保は採用倍率の低下など「依然厳しい状況」で、教員養成大学卒業者の教員就職は平均6割台で低減傾向にあり、一般大学でも教職課程の履修を断念する傾向が見られる、と説明。社会人などの多様な人材が学校現場に参画する状況にもない、と危機感を改めて強調した。

 その上で、教員の採用に関する検討の方向性として、教委と大学・教職大学院との連携促進を挙げた。大学・教職大学院の学修成果を教委が採用選考で評価することで、学生に教職に就くよう促していく必要がある、と指摘。博士号取得者に特別免許状授与を前提とした採用選考を拡大する考えも示した。また、大学・大学院推薦を利用した特別選考を実施している教委が32県市となっているとのデータも示した。

 人物重視の多面的な採用選考については「過去の一定期間を通じた実績に基づく丁寧な受験者評価は有効」と明記。多くの教委が実施している「教師養成塾」の学習成果や経験を採用選考に生かすことについて、「人物重視の多面的な採用選考に資する」と評価した。「教師養成塾」については、2020年度で小学校24、中学校19、高校12、特別支援学校13の教委が実施。こうした「教師養成塾」を対象とした特別選考も11県市の教委が実施している現状を説明した。

 教員採用選考試験の実施スケジュールでは、民間企業への就職活動との競合を念頭に、大学3年で1次試験を受験可能にしたり、特定の専門性を重視した特別選考を促進したりするなど、受験時期の早期化や受験ルートの複線化を検討する考えを示した。

 審議ではまず、埼玉県教委が06年から実施している教員養成セミナーの状況を報告。公立小学校の教員を希望する24大学の3年生50人程度を対象に、学習体験実習(43日間)、講演・講義・演習(13日間)、体験活動(3日間)など3つのプログラムを9カ月間にわたって実施した結果、セミナー生のほとんどが選考試験に合格して教職に就いている現状を説明した。

 埼玉県教育局の石井宏明・市町村支援部長は、これまで教員養成セミナーの受講生から894人の教員が採用され、学年主任や生徒指導主任などとして学校現場で活躍しているほか、管理職試験に合格して主幹教諭や各教委の指導主事となっていると成果を説明。一方で、「教員の大量採用や採用倍率の低下を反映して、セミナーを希望する学生が少なくなっている。大学から希望する学生の質の低下も指摘されている」と、課題を挙げた。

 続いて、教職大学院との連携について、奈良教育大学と奈良県教委が、教員採用選考試験の合格者について、教職大学院に進学しやすくするための特例措置を報告した。それによると、▽奈良県採用試験に合格し、奈良教育大学教職大学院にも合格した場合、1年目は採用が留保され、2年目に採用される▽2年目は勤務し、残りの科目、実習、学位研究報告書の作成は、オンラインや休日を活用▽初任研の内容と時間を軽減▽2年次の授業料は免除(大学負担)。1年次の授業料は採用後に給与収入を得てから納入できる▽教職大学院入試に合格すると、教員採用選考の2次試験で最大15点が加点される--などの特例措置を行っている。

 こうした教職大学院との連携のメリットとして、奈良教育大学の宮下俊也副学長は「大学院生からは『教員採用試験に受かったけれども、このまま4月から学校現場の教壇に立つのは不安があった。それがこの制度のおかけで解消された』との声が出ている」と成果を説明。奈良県教委の前田景子次長は「ICTの活用方法や英語教育について教職大学院で1年間しっかりと学び、高度な専門的知識や実践的指導力を身に付けた上で、小学校の現場に立つことができる。国際的に見ても、日本の小学校には大学院卒の教員が少ないので、そうした状況の改善にもつながる」と、この取り組みを評価した。

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