教員採用倍率、3.8倍に低下 小学校は過去最低の2.6倍

 公立学校の教員採用選考試験での採用倍率が3.8倍となり、昨年度(4.0倍)より低下したことが1月31日、文科省の集計で明らかになった。小学校では昨年度より0.1ポイント低下し、2.6倍と過去最低を更新した。文科省の担当者は「大量退職による採用者数の増加が主な要因」としており、「教師を取り巻く環境は非常に厳しい。対策を講じて、何とかこの環境を改善したい」と述べた。

 今回の集計対象は、計68の都道府県・政令市などが2020年度に実施した採用選考。小学校・中学校・高校・特別支援学校・養護教諭・栄養教諭を合計した全体の採用者総数は3万5067人(前年比192人増加)、受験者総数は13万4267人(同3775人減少)となった結果、採用倍率は前年度の4.0倍から減少し、3.8倍になった。

 校種別に見ると▽小学校 2.6倍(前年度2.7倍)▽中学校 4.4倍(同5.1倍)▽高校 6.6倍(同6.1倍)▽特別支援学校 3.1倍(同3.2倍)=図1=。地域別に見ると、採用倍率が高い県市は沖縄県(8.8倍)、高知県(7.9倍)、神戸市(7.7倍)など。低い県市は富山県(2.2倍)、山形県、福岡市(2.4倍)、新潟県、佐賀県、長崎県(2.6倍)など。

 小学校では、受験者数のうち新卒者は微増している一方で、既卒者の減少が続いており、文科省の担当者は「近年、(定年退職などを補う)大量採用が進んだことで、採用に再チャレンジする既卒者が減り、採用倍率の低下につながっている」と分析する。
 中学校は4.4倍の倍率を維持しているものの、受験者数は既卒者、新卒者とも減少している。これに対し、文科省の担当者は「減少要因を一概に断定することは困難。小学校に比べて民間の採用状況に左右されやすく、新卒者の減少傾向に歯止めをかけることが必要となっている」と説明している。

 各教委での採用選考試験の実施方法では、さまざまな工夫を講じる例があった。資格や技能を持つ受験者に対する特別選考については、教職経験(全68県市、昨年度より4県市増)、英語の資格(63県市・同1県市増)、民間企業経験(56県市・同6県市増)などがあった。実技試験については、新型コロナウイルスの感染拡大により、実施を取りやめた自治体が多数あった。

 また今年度は、岩手県、福島県、山梨県、香川県、愛媛県、佐賀県、大分県、鹿児島県、京都市が受験年齢制限を緩和。現状、年齢制限を設けない県市は47(前年度41)、上限を51~58歳とする県市は1(同1)、41~50歳とする県市は18(同23)、36~40歳とする県市は2(同3)となり、年齢制限の緩和が進んでいる=図2=。

 文科省は今後の対応として、各教委が行っている教員採用選考試験での質の高い教員の確保の工夫を踏まえ、「広く知見を共有し、選考試験の改善を促していく」としている。

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