中学生にジェンダーバイアスの授業 三重県が企業と連携

 中学生にジェンダーバイアスの問題について考えてもらおうと、三重県いなべ市立北勢中学校(岡本利和校長、生徒324人)で1月27日、三重県少子化対策課と企業の連携による、男性の育児・家事参加を促す授業が行われた。生徒らはさまざまなデータや学校などの身近な事例を基に、ジェンダーバイアスの存在について意識し、どんな家庭や社会を目指していくべきかについて話し合った。

 この日の授業は3年生の家庭科の1コマを利用し、子育て支援アプリを展開している「コネヒト」の社員で、助産師でもある筒井八恵さんが講師となり、教室とオンラインでつないで実施された。

 自己紹介の後、筒井さんは国の統計データを示しながら、日本の少子化の状況や国連の持続可能な開発目標(SDGs)の一つに、ジェンダー平等の実現が掲げられていることを解説。男女の生徒がそれぞれ入りたい部活動について会話している場面を例に、どんな発言にジェンダーバイアスが含まれているかや、相手はそれによってどんなことを感じるかを考えさせた。

 筒井さんは「こういうやりとりはいろいろな場所で起こっているかもしれない。その人の気持ちになって考え、日々の行動を変えていくことが大切だ。ジェンダーバイアスを認識したり、つい言葉に出してしまったりしたときに、意識をするのがまずは重要で、そこから発言や行動を変えてほしい」と生徒らにアドバイスした。

 次に、筒井さんは日本の男女間で、家事や育児に費やす時間で大きな開きがある現状をグラフで示し、社会や組織、個人でこれからどんなことが取り組めそうかを話し合わせた。生徒からは「男性の方が平均年収が高いということもある。男性が働いた方が収入が多いから、男性が働く傾向になる。男女共同参画社会を目指すのであれば、女性の所得を増やすことが必要だ」「共働き世帯が増えているけど、保育園で子どもが熱を出したときに、会社を休むのはお母さんというような不平等感をなくす社会にしていかないといけない」「家族の中でどんな役割を担うかには正解はない。それぞれの家族でしっかりと話し合って決めるのが大事だ」などの意見が出た。

 授業後、看護師になるのが夢だという男子生徒は「社会が変化している中で、社会の常識も変わっている。新しい常識を知って、自分の中の固定概念を変えていく必要があると感じた。男性看護師は増えているけど数は少ない。自分はそうした、変わってきている社会のお手本のような存在になりたい」と感想を話した。

 また、別の女子生徒は「ホームルームでムードメーカーとして盛り上げ役になるのは男子が多いような気がする。これはジェンダーによる固定概念かもしれない。今日の授業を通して、ジェンダーバイアスがあることでつらい思いをしている人がいるのが分かった。自分からそういう場面を作り出さないようにしたい」と、日頃の学校生活を振り返っていた。

 筒井さんは「育児だけでなく、仕事と家庭を長い視点で捉えて、社会全体で体制を作っていくのがすごく大事だ。生徒はステレオタイプが少ない分、フラットに捉えることができ、何が課題なのかを鋭く突いていた。教室の中や教員の発言の中にも、ジェンダーバイアスが残っている。ぜひ教員にジェンダーバイアスを学んでほしい」と語った。

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