個別最適・協働的な学び充実へ 中教審特別部会が初会合

 中教審が昨年1月にまとめた答申で「個別最適な学び」と「協働的な学び」の実現が目指されていることを踏まえ、中教審は2月7日、「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」の初会合を開いた。GIGAスクール構想で整備された1人1台端末を活用した学習指導・生徒指導のほか、デジタル教科書やデジタル教材などの活用の在り方などを議論する。

特別部会の議論を進行する荒瀬部会長(YouTubeで取材)

 7日の初会合では議論に先立ち、荒瀬克己委員(独立行政法人教職員支援機構理事長)を部会長に選任し、委員らが順に意見を述べた。奈須正裕委員(上智大学総合人間科学部教授)は「カリキュラムや授業が固定されており、(子供たちは)それに合わせるという学校運営の考え方を変えていくことが大事。一斉指導は効率がよいと言われるが、それは教師の側の指導効率であり、学習効率は低いと言われている。子供たちの都合で動くことで、自分たちの時間を適切に使えるようになる」と指摘した。

 また、中川一史委員(放送大学教養学部教授)は「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実で、特に期待しているのがデジタル教科書だ。すでに学校での活用の様子をかなり見ているが、児童生徒が個々の思考を深めたり、自分の考えを表現したりする場面で有効に活用されている」と期待を寄せた。

 堀田龍也委員(東北大学大学院情報科学研究科教授)は新型コロナウイルスのオミクロン株拡大に伴って、各地で行われているオンライン授業に触れ、「本当に上手に授業をしていて、授業時数として読んでも問題ないものもあれば、全くそこまで届いていない授業もある。学校に来ていれば出席、そうでなければ欠席といったこれまでの考え方をもう一度、きちんと定め直すことが重要」と指摘した。

 高校については、平川理恵委員(広島県教育委員会教育長)が「探究のレベルを上げることが課題になっている。教員が各教科や単元で本質的な問いを作れるかが一番重要だ」と強調した。また岩本悠委員(一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム代表理事、島根県教育魅力化特命官)は「現状では全日制と通信制の間に壁がある。全日制の生徒でも通信制の授業をハイブリッドで履修できるようにするなど、多様な生徒たちの多様な学びを実現していくための議論が必要では」と提言した。

 今村久美委員(認定NPO法人カタリバ代表理事)は、高校生世代への支援を通して感じたこととして、「最も問題だと思うのは、学ぶというスタート地点に立てないくらい、学びの楽しさをとうの昔に忘れてしまったまま、授業に一応向かっている状態を『学校に通っている』と呼んで、授業の時間が心を殺した時間になっていること。高校改革は、日本の普通科高校の授業を一変させるものでないと意味がない」と語った。

 今回の会合ではまた、同特別部会の下に「教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキンググループ(WG)」を設置し、2024年度からのデジタル教科書の本格的な導入の在り方、デジタル教科書・デジタル教材や関連するソフトウェアの適切な活用方法などを検討することを決めた。同WGは、今年夏から秋にかけて議論を取りまとめる予定。

 同特別部会の委員は次の通り(敬称略)。

 ▽秋田喜代美(学習院大学文学部教授)▽荒瀬克己(独立行政法人教職員支援機構理事長)▽今村久美(認定NPO法人カタリバ代表理事)▽岩本悠(一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム代表理事、島根県教育魅力化特命官)▽金丸恭文(フューチャー㈱代表取締役会長兼社長 グループCEO)▽貞廣斎子(千葉大学教育学部教授)▽戸ヶ﨑勤(埼玉県戸田市教育委員会教育長)▽中川一史(放送大学教養学部教授)▽奈須正裕(上智大学総合人間科学部教授)▽平川理恵(広島県教育委員会教育長)▽堀田龍也(東北大学大学院情報科学研究科教授)

あなたへのお薦め

 
特集