ICTを活用した異学年での協働的な学び 京都の小学校が研究発表

 京都市立葵小学校(市村淳子校長、児童498人)で2月8日、「対話×探究×GIGA」をテーマとした研究報告会がオンラインで開かれ、1人1台端末を活用した異学年での協働的な学習「あおいカレッジ」の活動について、児童らが発表した。新型コロナウイルスの感染拡大により、異学年の交流が制限されており、そうした中で1人1台端末を活用して協働的な学習を実現するまでの試行錯誤が、同校の教員からも語られた。

「あおいカレッジ」での探究的な学びについて児童らが発表した

 同校では、2019年度から総合的な学習の時間とクラブ活動の時間をカリキュラムマネジメントし、週2時間、4~6年生の異学年グループで「あおいカレッジ」という協働的な学習を行っている。今年度は「スポーツ」「歴史・文化」「表現」「生き物」「健康」「オンライン探究」の6つのゼミを立ち上げ、そのいずれかに児童は参加。各ゼミ内でさらにチームを編成し、チームごとに児童自らが課題を立て、探究的な学習を進めていった。

 コロナ禍で異学年の交流が制限されていたため、ゼミや各チームでの活動には、各自の教室から1人1台端末を活用し、ZoomやTeamsを使って参加。ロイロノートなども活用しながら、話し合いをしたり、意見を共有したりしながら、学びを深めていった。

 同校の教員はオンラインでの異学年交流の活動について、「各教室からZoomを使ってゼミに参加するので、子どもたちが何に困っているのかが教員には見えづらく、支援の仕方が難しかった」と率直な感想を述べた。しかし、そうした中でも、例えば4年生の児童が困っていると同じチームの5、6年生が教えてくれるなど、「子どもたち同士で課題を解決していく姿を目の当たりにして、あらためて子どもたちの持っている力に驚いた」と新たな気付きがあったという。

 「生き物」ゼミで、同校のすぐ近くを流れる高野川の環境による影響について探究したチームは、高野川の現状などについて発表した。まず、児童らは現在の高野川の様子を調べると、水量が少なく、見た目には水質が良いとは思えなかった。そこで、水質調査を行ったところ、数値上の大きな問題はなかったものの、ゴミによる影響があることが分かった。実際に高野川ではたばこの吸い殻や食べ物の容器などが散乱しており、それについて児童は「コロナで夜に飲食店で飲めなくなり、河川敷で集まって飲食している人たちが放置したものが流れてきているのではないか」と分析した。そして、「もちろんゴミを捨ててはいけないが、コロナ禍のストレスが関係していると思う。ゴミを捨ててしまっている人の気持ちにも寄り添って、その解決法を考えていきたい」と思いを話した。

 また、高野川の外来種についても京都府の自然環境保全課に取材するなどして、外来種が増加する理由や、その影響などについてまとめ、「高野川の外来種駆除はボランティア団体が頑張ってくれていることが分かった。今後は僕たちも参加したい」と意欲を見せた。

 これまで同小の「あおいカレッジ」に外部講師として関わってきた、学びの道教育研究所代表の池田哲哉氏は、児童らの発表や発表までの取り組みを評価した上で、「調べ学習ではなく、探究的な学習にするにはどうすればよいのかが、今後のポイントになる。そのためには、学びのゴールに数値化できるものを設定するといいのではないか」とアドバイス。「例えば、自分たちがどういうことをしたら、水質調査の数値が改善されたかなど、『自分たちが未来を変えられるんだ』という経験ができると、子どもたちの自己肯定感も高まる」と話した。

 また、同じく外部講師の参加型社会学会会長の田原真人氏は「ゴミを捨てる側の人の事情も含めて考えているのが、非常に印象的だった」と児童の視点を評価した。

 同校の6年生の担任教諭は「これまで教師が子どもたちを引っ張っていくという気持ちで指導してきたが、『あおいカレッジ』に取り組むことで、そうした指導観が覆された。自分にとって的確な課題を見つけた子は、自ら主体的にどんどん進んでいく。その時の子どもの本気度は、これまでの自分の指導スタイルでは導けなかった姿だ。普段の授業でも、児童への関わり方が指導から支援へと変わった」と、教員側の変容についても強調していた。

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