高校生と政策に「大きなギャップ」 10代から率直な意見相次ぐ

 子供たちの探究力を育む具体策などを検討している、文科省など3府省から成るワーキンググループ(WG)の第6回会合が2月9日、オンラインで開催された。昨年12月に示された「Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ(中間まとめ)」について寄せられたアンケート結果が公表された。

アンケート結果が示されたWG

 アンケートでは465件の回答が寄せられ、うち25%が10代からのものだった。「常に先のために今を犠牲にするという日本の教育方式の形を壊すことにこそ、子供一人一人に合った教育ができる」「現在の高校生の思考と、政策が掲げる理想には大きなギャップがあると思うので、そこを埋めるようなサポートなどが必要」など、学習者目線の率直な意見が目立った。

 昨年末に示された中間まとめでは、今後求められる政策として▽子供の特性を重視した学びの「時間」と「空間」の多様化▽探究・STEAM教育を社会全体で支えるエコシステムの確立▽文理分断からの脱却・理数系の学びに関するジェンダーギャップの解消――の3つを掲げた。具体的には、個別最適な学びの充実やSTEAM教育の推進、性別にとらわれない子供の主体的な進路選択の実現など、多岐に渡る課題の解決に向けた施策が示されている。

 中間まとめについてのアンケートは昨年12月24日から今年1月16日にかけて、意見を募集。465件のうち、4分の1が学習の当事者である10代からの声だった。会合では特に10代の意見に着目して、議論が展開された。

 これまでの議論でも俎上(そじょう)
に載ってきた「個別最適な学び」については、前向きな声がある一方で、教員のサポートの必要性や自由に学べるからこそのプレッシャーを指摘する意見があった。

 「『個別最適な学び』にとって重要なのは『自分で自分の学びの目的やペースを自分で試行錯誤しながら見定めること』とあるが、実際には生徒がこのような試行錯誤を行っていくことは難しいと思う。大人たちが生徒たちに試行錯誤の方法を教える機会が必要」「自由を求められたり、自分の個性を生かしたり、他の人と違うことをやったりすることを強制させられるのは苦しいと思う人もいるのではないか」などの声が挙がった。

 またオンライン学習が広がる反面で、実際に教室に集まってクラスメートと共に学ぶ機会を大切にしたいという10代のニーズも浮かび上がった。

 例えば「学校は社会人になる前段階の小さな社会であり、そこで社会性や協調性を学ぶことに重要な意味がある。なので従来のように、同年齢の友達と同じ教室で一緒に勉強して、学校生活を行うことも大切」「『学校』という子供たちが集まって学び合う場は無くしてはならないと思う。学校という一つの擬似的な小さな社会の中に身を置くことで、他の人と意見を交わしたりけんかしたり、仲良くしたりする協調性や社会性を身に付けることは非常に大事だ」などの意見があった。

 さらに全体の回答を見ると、学歴至上主義の風潮や既存の入試制度に課題感を持つことが伺える意見が目立ち、委員からも多くの言及があった。

 「高校で言うと、教科書も大きく変化しない、大学入試も大きく変わらない、1クラスの基本となる人数も変化がない、このような状況で教員に新しい学びに挑戦しろといっても、なかなか意識を変えるのは難しい」「決してその道しか無いわけではないが、『大学に入って自分が生活できるぐらいの収入を得ることができる安定した職に就くべきだ』と親から言われれば、学歴は関係ない、一人一人の個性が大切だと国がいくら主張しても、国民の考えは変わらない」など、政策パッケージが掲げる理想と現実のギャップを指摘する回答があった。

 会合では他にも、各政策を実現するための課題を整理し、具体的なロードマップに落とし込んだ「政策パッケージ(素案)」が公開された。今回のアンケート結果や委員からの意見を盛り込み、3月3日に開催されるWGで最終まとめ案として示される。

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