短編映画『18歳』の監督が講演 成年年齢引き下げテーマに

 18歳への成年年齢引き下げが目前に迫る中、文科省は2月10日、「成年年齢引き下げに伴う消費者教育の向き合い方」をテーマに、都内で「消費者教育フェスタ」を開催した。成年年齢引き下げによる消費者トラブルを扱った短編映画『18歳』を制作した映画監督の犬童一利さんが講演し、作品に込めた思いとともに、高校生だけでなく、教員や保護者ら大人にも考えてほしいと語った。

映画に込めた思いを語る犬童監督

 映画『18歳』は、成年年齢が18歳に引き下げられた社会で、誕生日が来て成年を迎えた主人公の女子高校生が、同じく成年になった同級生から投資話を持ち掛けられるが、実はそれが「モノなしマルチ商法」だったことが判明し、自分自身が被害者になるだけでなく、誘った同級生が加害者となってしまうというストーリー。高校の家庭科の教科書を出版する教育図書が製作した。

 講演で犬童監督は、映画の企画にあたり改めて高校の家庭科の教科書を読み直してみたところ、介護や共生社会、発達、保育、消費生活など、自分自身の問題意識と重なる内容を取り扱っている教科であることを再認識したと話し、単なる視聴覚教材ではなく、高校生の情動に訴える映画作品として撮ろうと決意したことを説明。

 完成後に映画を見た高校生から「生々しくて気持ち悪かった」という感想があったことを紹介し、「僕がやりたかったのは現実との地続き感。映画で描かれているのはあくまでスクリーンの中の話だと考えるのではなく、自分だったらどうだろうと想像したり、登場人物に感情移入したりできるかが重要だ」と話した。

 また、投資や仮想通貨、副業などでだまそうとする「モノなしマルチ商法」をストーリーの軸に採用したことについて、「加害者にもなる怖さが一番の理由だ。『被害者にならないように気を付けよう』と注意喚起されがちだが、マルチ商法の場合は加害者になって失うものもすごくある。特に高校生や大学生は、人間関係や自分の将来も黒く塗りつぶされてしまう」と説明した。

 犬童監督は、成年年齢の引き下げを巡って、世の中の議論がまだ十分ではないとも指摘。当事者である高校生だけでなく、保護者や教員にも、映画を通じてこの問題を考えてほしいと呼び掛け、これをきっかけに、教科や担当を超えた教員間の連携が広がることに期待を寄せた。

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