「ポジティブ行動支援」を学校に 徳島県が報告会

 ポジティブ行動支援(PBS)にスポットを当てた徳島県教委主催の特別支援教育実践研究報告会が2月10日、オンラインで開催された。高校の通級指導をテーマにPBSをベースとした教育実践について、県内の高校2校が取り組みを発表した。さらにPBSを専門とし、両校の取り組みをコンサルティングした大阪樟蔭女子大学の田中善大准教授も登壇し、PBSを取り入れるコツについて解説。「『〇〇をやめなさい』ではなく、『〇〇をできるようになってほしい』『こうなってほしい』を具体的に生徒に示す。そうした働き掛けが校内でどんどんと広がっていくのがポイント。生徒自身ができるようになったと感じられ、成功体験につながる支援をしてほしい」と参加者にアドバイスを送った。

PBSについて説明する田中准教授

 PBSとは、当事者のポジティブな行動(適応行動)を、罰的な指導ではない手段でポジティブに支援すること。具体的には、できないことに対する指導よりも、できたことに焦点を当てた声掛けなどを重視し、適応行動を増やして、結果的に問題行動を減らしていく。米国の小中学校を中心に取り入れられている。

 実践報告した県立徳島中央高校の辰巳敏夫指導教諭は、他の教員を巻き込み校内一丸となって、PBSをベースに通級の生徒を支援する手法について報告した。

 具体的には年度初めに、該当生徒と関わる通級の担当教員や担任教員、部活動顧問などが「話し合いシート」を基に課題を出し合い、生徒に合わせた目標を設定。さらに日々の生徒の様子を記録する「行動チェック表」を共有して、どの教員も生徒の現状が把握しやすい体制をとり、校内全体で生徒の目標達成に向けてバックアップできるよう工夫した。

 例えば場面緘黙(かんもく)症の生徒は、「他者とのコミュニケーションを向上させる」と目標を設定。最初は単語での発言が続いたが、1文単位で会話ができるようになるなど、スモールステップが見られたという。こういった細かい情報を教員間で共有しながら、うまくいかない場面では新たな手だてを考える材料にもしている。

 これらの情報は校内のシステムから教員がアクセスできるようになっており、「『自立活動』でどんなことをしているかが分かるようになった」「生徒への声掛けが増えた」など好反応が多いという。

 同校の取り組みについて助言する田中准教授は「少人数で生徒と関われ、生徒に合わせて目標や支援を設定できる通級指導は、PBSと相性がいい」と説明。「通級でできたことを、他の場面に広げるのがポイント。通級の担当だけで目標や振り返りをとどめるのではなく、その他の先生たちにも共有し、生徒が通級以外の場所でも成功体験を積み重ねていくことが大切だ」と、校内の連携の重要性について強調した。

 同報告会は全3回の2回目。第3回は2月22日に実施され、同じくオンラインでも参加可能。

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