文化部活動の地域移行へ議論始まる 今年7月めどに提言へ

 2023年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行が目指されていることを踏まえ、文化庁は2月16日、音楽や美術などの文化部活動について、地域移行を進めるための検討会議の初会合を開いた。スポーツ庁で先行している運動部活動の地域移行についての議論に続く形で、学校の働き方改革とともに、子供たちが文化芸術に親しむ環境を実現することを目指し、さらには地域での他の世代も含めた文化芸術の振興につなげる。同検討会議は今後、1~2カ月に1回のペースで会合を開き、今年7月をめどに提言を取りまとめる。

検討会議の初回会合であいさつする都倉文化庁長官(下段、文科省YouTubeで取材)

 冒頭、あいさつした文化庁の都倉俊一長官は「部活動というと、子供の頃を思い返しても学校の授業に勝るとも劣らず、楽しい思い出がたくさんある」と振り返りながらも、「昨今は少子化を始めとするさまざまな理由により部活動がままならず、地域によってはその存続を危ぶむようなところもあると聞いている。部活動の指導に携わる教師の中には、その活動の内容にあまり精通していないこともあると聞いているし、また教師側から見ても長時間労働の要因になっている」と現状の課題に対する認識を述べた。

 その上で「生徒にとっても教師にとっても、あまり望ましくない環境が今、あるということで、抜本的に改革に取り組まなくてはいけない時に来ていると思っている。何よりも大切なのは、やはり子供たちが非常に過ごしやすい環境で、楽しく部活動を実施できること。その環境作りというものが大切だ」と、積極的な議論を呼び掛けた。

 検討会議では、スポーツ庁で先行している運動部活動の地域移行についての議論を踏まえつつ、スポーツと異なる文化部活動固有の課題を中心に洗い出す。主な論点としては▽文化部活動改革の目的・目標▽指導や大会への引率など、地域移行する前段階での改善▽地域移行の方法や、地域での活動の参加者・活動内容・活動時間の在り方▽受け皿となる組織・団体や学校との連携▽活動する場の確保▽大会の主催者・規模・参加資格・形式などの在り方――などが挙がっている。

 また、運動部活動と共通する論点としては▽教育者としてふさわしい資質を持つ指導者の確保や育成▽適正な額の会費の保障や困窮家庭への支援▽指導者や参加者が加入する保険▽学習指導要領での部活動にかかわる規定や入学試験、教員採用における位置付けなど、関連する制度の見直し――などが指摘されている。

 美術教育を専門とする大坪圭輔委員(武蔵野美術大学教職課程教授)は「第一に、特に中学校の先生方の過重な労働負担を早く解消してあげたい。新たな学習指導要領で示されている資質能力の育成は、相当の教科の専門性が生かされなければ実現できない」と指摘。

 その上で「これまで部活動が文化振興に果たしてきた役割は絶大だが、先生が授業をやりながら、片手間的に指導をする段階からは変わってきている。これから日本全体の文化を発展させていく視点に立った時、子供たちが新たな文化に触れ、単なる消費者でなく発信者になるよう育つという環境を考えると、新しい日本型の文化振興の場が必要になる」と述べた。

 地域部活動に携わってきた齊藤勇委員(日本地域部活動文化部推進本部)は「現状の部活動の規模のまま、地域に移行することは難しいと感じている。地域の習い事や文化芸術団体、子供たちの居場所づくりをしているNPO法人などの、さまざまな活動が受け皿になるとよい。その中の一つが地域に展開される部活動で、移行の段階では学校に残せるものは残していくという形がよいのではないか」というイメージを示した。

 文科省は20年9月、休日の部活動での生徒の指導や大会の引率について「学校の職務として教師が担うのではなく、地域の活動として地域人材が担う」とし、実践研究を進めた上で、「23年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行を図るとともに、休日の部活動の指導を望まない教師が、休日の部活動に従事しないこととする」との方針を打ち出している。

 同検討会議の委員は次の通り(敬称略)。

 ▽石津谷治法(全日本吹奏楽連盟理事長)▽大坪圭輔(武蔵野美術大学教職課程教授)▽金田淳(全日本PTA全国協議会)▽北山敦康(静岡大学名誉教授・座長)▽熊谷拓也(全国高等学校文化連盟事務局長)▽齊藤勇(日本地域部活動文化部推進本部)▽齊藤忠彦(信州大学教育学部教授・座長代理)▽野口由美子(全国中学校文化連盟理事長)▽長谷川冴子(全日本合唱連盟副理事長)▽冨士道正尋(全日本中学校長会事務局次長)▽村田かおり(兵庫県教育委員会義務教育課課長)▽吉田学(富山県教育委員会生涯学習・文化財室室長)

あなたへのお薦め

 
特集