都教委の英語スピーキングテスト 今年度の試行結果報告

 来年度から都立高入試への活用を予定している中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)について、東京都教委は2月17日の第3回定例会で、昨年9月から11月にかけて都内の全公立中を対象に行ったプレテストの結果を報告した。同テストではスコアが0~100の間で算出される。今回の平均スコアは53.7で、生徒の英語力に一定の成果が見られた一方で、教育委員からは「到達度を測るテストとしては難しいのではないか」との指摘も挙がった。

都教委の2022年第3回定例会

 同テストは都教委とベネッセコーポレーションが共同で開発・実施するもので、タブレット端末を使用し、解答音声を録音する方式。2019年度から都内公立中学校の一部で出題内容の妥当性や、実施運営を検証するためのプレテストを行ってきたが、今年度は対象を都内の全公立中学校(約6万4000人、592校)に拡大して実施した。

 同テストの出題は▽英文を読み上げる(パートA、2問)▽質問を聞いて応答する・意図を伝える(パートB、4問)▽ストーリーを英語で話す(パートC、1問)▽自分の意見を述べる(パートD、1問)――から構成され、パートAでは音声(発音、イントネーション)、パートBではコミュニケーションの達成度(目的の成立)、C・Dではそれに加え言語使用(語彙や表現の使い方や幅広さ、内容の一貫性、論理構成)が評価の観点となる。

 今回の結果では平均スコアが53.7となり、都教育庁は「(国が)到達度の目標とするCEFRのA1レベル以上に相当する生徒は8割を超える」と分析。また、「慣れ親しんだ表現で聞かれたり、解答したりすることにおいては、相手が必要とする情報を伝えることができる」「簡単な接続詞を使って、文を組み立てながら話すことができる回答が7割を超える」と評価した。

今年度のプレテストのスコア度数分布

 一方、課題が見られる点として「客観的な事実を既習の語彙・表現を活用して伝えることや、『意見』を『事実』と区別して述べること」「順序だてて分かりやすく相手に伝えたり、複数の文を使って話したりすること」「自分で伝える内容を考えて述べる際のリズムやイントネーション」を挙げた。

 これに対し、北村友人委員(東京大学大学院教育学研究科教授)は「スコアはきれいな正規分布になっているが、到達度を測るテストという前提であれば、もっと右寄り(高得点)になるのが理想ではないか。特に(自分の意見を述べる)パートDの達成度が低いことが気になる。入試に使われるセンシティブなテストなので、過度な負担にならないよう工夫してほしい」と指摘した。

 また、新井紀子委員(国立情報学研究所教授兼社会共有知研究センター長)は「目標とするCEFRのA1レベル以上の水準を、それほどの準備なく、8割の生徒が超えているということはポジティブ」と受け止めつつ、設問によって達成度が20%台~90%台と大きく異なることに懸念を示した。とりわけイラストを解釈する必要がある設問は「発達の特性などによっては難しい場合がある」として、配慮を求めた。

 さらに遠藤勝裕委員(元日本学生支援機構理事長)は「入試に使われるとなると、経済的に豊かな家庭はスピーキングの塾に通わせる。経済力のある家庭とそうでない家庭との差を考える必要がある」と指摘。これに対し、教育庁の担当者は「重々、認識をして進めていきたい。出題内容は公表しており、意欲のある学校や生徒が格差なく取り組めるようにしている」と応じた。

 教育庁の担当者は「出題内容は学習指導要領の内容を前提としている。学校は不安になることなく、現在行っている『話すこと』の指導に自信を持ち、中学3年生まで強力に進めていただきたい」と話した。都教委は来年度からテスト結果を都立高校入試に活用する方針で、実施日を今年11月27日(予備日12月18日)としている。

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