ICTや民間活用で教育機会を確保 不登校報告書の素案公表

 不登校の児童生徒への支援策を検討している文科省の有識者会議は2月17日、第4回会合をオンラインで開き、これまでの議論を踏まえた取りまとめ素案を示した。重点的に実施すべき施策の方向性として、ICTや民間施設を活用した多様な教育機会の確保、不登校傾向のある児童生徒の支援ニーズの早期把握などを打ち出した。委員からは「予防的な観点からも、学校がもっと少人数やICTの活用など柔軟性をもって、子供に応じた対応ができることが大事」「フリースクールやICT学習などが、セーフティーネットではなく積極的な選択肢となるべき」などといった意見が上がった。

オンラインで行われた有識者会議

 不登校に関する調査研究協力者会議による報告書の素案では、不登校傾向のある児童生徒の支援ニーズの早期把握について、重点的に進めるべき取り組みとして、▽魅力ある学校づくり▽教育機会確保法の学校現場への周知・浸透▽不登校傾向のある児童生徒の早期発見及び支援ニーズの適切な把握▽校内の別室を活用した支援など、学校内の居場所づくり▽スクールカウンセラーなどを活用した心理教育の推進━━を示した。

 その中で、魅力ある学校づくりについて、笹森洋樹委員(国立特別支援教育総合研究所上席総括研究員)は「魅力ある学校づくりは大前提だ。少人数やティーム・ティーチングなど、子供のニーズに合わせた柔軟な指導体制の仕組みや、ICTのさらなる活用など、学校がもっと柔軟性をもって子供に応じた対応が取れることが、予防的なスタートとしては大事だ。本人がSOSを出せる環境づくりをするべき」と強調した。

 また、教育機会確保法の学校現場への周知・浸透に関しては、伊藤美奈子委員(奈良女子大学教授)が「この法律自体、学校現場にも、子供や保護者にも、まだまだ知られていない現状がある。だから不登校になった子が自己否定したり、保護者が思い悩んだりすることが多い」と指摘し、さらなる周知の徹底を要望した。

 さらに素案では、不登校児童生徒の多様な教育機会の確保のために重点的に進めるべき取り組みとして、▽不登校特例校、教育支援センター、民間団体などの多様な場における支援▽ICTを活用した学習支援▽学校外の民間施設や自宅におけるICTを活用した学習状況の把握━━を挙げた。

 齋藤眞人委員(立花高等学校理事長・校長)は「魅力ある学校づくりなど、学校が変化していくことはもちろんのこと、フリースクールやICT学習などの学校以外の選択肢が、これまでのようなセーフティーネットの位置付けから、もっと積極的な選択肢となっていくべきだ。それらが学校と並びうるものとして、子供たちの多様な学びを広げていく発想が必要」と述べた。

 また、沖山栄一委員(東京都世田谷泉高等学校統括校長)は、ICTの活用について「コロナが落ち着けば、ICTの活用はどこかにいってしまうのではないかと危惧している。今後、社会がどういう状況にあっても、対面の指導の大切さは変わらないし、オンラインで学べるという選択肢も重要だ。不登校の子でも、登校している子でも、全ての子に当たり前にそうした多様な選択肢が認められる形ができればいいのではないか」と意見を述べた。

 素案で触れられている不登校児童生徒の社会的自立を目指した支援に関しては、伊藤委員が「最終的なゴールとしている『社会的な自立』とは何を指しているのか」と問題提起。「『社会的な自立』をどう捉えるかによって、とても遠いゴールのように見えてしまうかもしれない。具体的にどうしたらいいのか、短期的にできることは何なのかを示すべきではないか。自分からSOSを出せるようになるのも一つの自立だと思う。その辺りについても、説明があればいいのではないか」と述べた。

 加えて、今回の会議では、さいたま市教委が不登校児童生徒への支援の充実に向けて、来年度から「不登校等児童生徒支援センター」を設置することも発表された。不登校や病気などで長期欠席している児童生徒に寄り添い、オンライン授業を含めたICTを活用した学習支援を実施していく。具体的には、国語、算数・数学などの授業のオンライン配信や、体験学習の配信なども行うなどして、指導要録上の出席扱いの対象となることを目指す。また、オンラインホームルームやオンライン昼食会など、多様なプログラムを用意し、家にいながら新しい出会いの場を提供するとしている。

 さらに、教育相談・サポート体制の充実も図る方針で、同市教委の担当者は「保護者とは『子育て学習会』を開催するなど、在籍校や保護者との連携を強めていく。保護者同士のつながりも作って、孤立感や不安感の軽減をしていきたい」と話した。

 同協力者会議は、小中学校での不登校の児童生徒が2020年度に約19万人に上り、過去最多となる中、新たな支援策を検討するために昨年9月に設置された。不登校に関する総合的な施策について、年度内の取りまとめを目指している。

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