免許更新制7月廃止、末松文科相「予定通り」 自民は了承先送り

 教員免許更新制の廃止に伴う教育公務員特例法・教育職員免許法の改正案を巡り、自民党政務調査会の審議会で一部議員が問題点を指摘して了承が先送りされたことについて、末松信介文科相は2月18日の閣議後会見で、「(開会中の)今国会でこの法案を成立させたいと考えている。話せば分かる」と述べ、丁寧な説明を通して自民党の了承を得る考えを明らかにした。教員免許更新制を廃止する時期については「当初の予定通り進めていきたい」と強調。教育職員免許法の改正案が今国会で成立し、予定通り7月1日に施行されれば、その時点で教員免許更新制は「発展的解消」によって事実上廃止され、実質的にほとんどの教員にとって来年度から免許状更新講習が不要となる、とのスケジュールを改めて確認した。自民党政調では、次回の審議会で改めて改正案を議題とする見通し。

記者会見で質疑に応じる末松文科相

 教員免許更新制の廃止を盛り込んだ教育職員免許法の改正案と、それに伴う研修履歴の記録など新たな教員研修制度を定める教育公務員特例法の改正案について、政府は2月中に閣議決定を行い、開会中の通常国会での成立を目指している。通常国会は会期延長がなければ6月15日に閉会する予定で、それまでに成立すれば、教育職員免許法の改正案は7月1日に施行される。

 これに対し、与党の自民党は閣議決定に先立つ法案審査を続けており、2月9日には文部科学部会で改正案を了承した。しかしながら、政務調査会の上部組織となる審議会では、2月15日の会合で一部の議員が問題点を指摘し、改正案の了承を見送った。

 末松文科相は、改正案の了承が見送られた理由について、「教員免許更新制を発展的に解消した後、新たな研修システムが実効的に実施される必要がある、という観点から、さまざまな意見が出たと聞いている。研修履歴の管理システムなどのことだろうと思っている」と説明。「広く関係者の意見を頂戴しながら(進めたい)と考えている。私の耳にもいろいろ入ってくるが、話せば分かる、と私は思う」と述べ、議員への説明などを通して自民党内で改正案への理解を得ることに自信を示した。

 また、今後のスケジュールについては、「今国会でこの法案を成立させたいと考えている」とした上で、「廃止の時期と新たな研修の開始について、考え方を変えるつもりはない。当初の予定通り進めていきたいと思っている」と強調した。

 教育職員免許法の改正案が7月1日に施行されれば、それ以降に教員免許の更新期限を迎える教員は免許状更新講習の受講や更新手続きが不要となる。文科省によると、教員免許の有効期限はほとんどの教員が年度末となっていて、夏休み期間中に受講するケースが多い。末松文科相は昨年11月19日の閣議後会見で「来年度、法律が施行されて以降に免許の有効期限を迎える教員は、免許状更新講習の受講や免許更新の手続きの必要がなくなる」と明言している。

 ただし、今年度末に有効期限が切れる教員や、産休・育休や海外在住などで施行日以前に有効期限が切れる教員は、更新講習を受ける必要がある。

 一方、教育公務員特例法の改正案では、任命権者が校長・教員ごとに研修などの記録を作成するとともに、その記録を活用し、資質の向上に向けた指導や助言を行うとしている。この改正案の施行期日は2023年4月1日となっている。

 教員免許更新制の廃止を巡っては、自民党内に「教員免許更新制は第1次安倍政権が導入を決め、2009年度に始まった。それをあっさりやめてしまっていいのか、という気持ちはある」(閣僚経験者)といった慎重な意見が根強く存在している。

 免許状更新講習に対する教員の負担が指摘される中、萩生田光一前文科相が昨年8月23日、中央教育審議会(中教審)教員免許更新制小委員会が審議まとめ案に盛り込んだ「発展的解消」という言い回しを受けて、事実上廃止する考えを表明。これに対して、3日後の8月26日に開かれた自民党文部科学部会では、「『発展的に解消』の発展的とは何か分からない」「制度をなくすのは簡単だが、もう一度作るのは大変であり、しっかり議論すべきだ」などと反対する意見が相次いで表明された。

 今年2月9日に文部科学部会が条文審査で改正案を了承した際にも、出席した議員から「教員の資質の維持・向上が担保できるのか。教員免許更新制を残した方がよいのではないか」と廃止の見直しを求める声が上がった。こうした流れを受けて、2月15日の政調審議会では、出席者から問題点が改めて指摘され、改正案の了承を見送った。

 自民党関係者によると、同党は2月22日の政調審議会で、改めて両法案の改正案を議題として取り上げる見通し。

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