いじめ重大事態調査 課題は「人材不足」と「保護者対応」

 いじめの重大事態対応について議論している文科省の「2021年度いじめ防止対策協議会」(座長:新井肇・関西外国語大学外国語学部教授)は2月21日、第4回会合を開き、教委へのアンケート結果を元に、今後の議論の方向性を検討した。文科省が都道府県・政令市教委を対象に行ったアンケートでは、人材確保や予算など重大事態調査の体制作りや、児童生徒・保護者への対応が課題として浮かび上がり、調査委員などの人材候補をあらかじめ想定しておく「人材プール」の可能性や、詳細な手順書の作成を検討する方向性が示された。

オンラインで行われた会合を進行する新井座長

 文科省のアンケート調査では、約9割の自治体で重大事態調査のマニュアル・フロー図が作成されており、同じく約9割が重大事態調査を実施する第三者委員会を附属機関として常設していた。一方、多くの自治体が調査委員の選出を課題として挙げたほか、重大事態が突発的事案であるため、予算計上が難しいという声もあった。

 さらに調査にあたっては、関係児童生徒や保護者の聞き取り調査の拒否や非協力のほか、調査結果に納得が得られない・処罰感情が強い、公平性・中立性の担保などが課題として挙げられた。文科省はこうした結果から「いじめの重大事態調査の課題として、調査委員を含む人材の確保、調査の長期化・複雑化に耐え得る体制や、関係児童生徒や保護者への対応を挙げる自治体が多かった」と総括した。

 アンケートでは、「いじめの防止等のための基本的な方針」や「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」が学校現場に浸透していると答えた自治体が6割にとどまり、新井座長は「思っているほどうまく活用されるような段階には至っていないのではないか」と述べた。実際、アンケートでは「答申から公表までの手順書、補足マニュアル、解説」や「対応事例集」「Q&A」を求める声も多く挙がり、今後、保護者なども含めて調査への理解を促すための資料の作成を検討することとした。

 人材の確保が難しいという課題に対しては、渡辺弘司委員(日本医師会常任理事)が医療事故調査のケースを踏まえ、「互いの言い分を公平に聴取できる人が最低限必要。事前に各団体から何人かの登録をしておくことで、学校から遠い人材を選んで第三者性を高めたり、委員を選別する時間を極力減らしたりできる」と、地域ごとに人材のプールを作っておく方法を提言した。

 これに対し、地域によって「プールする人材が不足している」といった課題が複数の委員から挙げられた。新井座長はそうした状況に理解を示しつつも「リストアップできるところから進めることが望ましい」と述べ、公平性・中立性を担保するための人材プールの構築を検討する考えを示した。

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