公立中が地元企業・大学の課題を解決 京都府教委がコンテスト

 京都を中心に活躍している企業・大学と、京都府内の公立中学校が連携して課題解決型学習を行う「未来の担い手育成プログラム」の成果を発表するコンテストが2月19日、オンラインで開催された。同プログラムに参加した6校の中学2年生が、企業・大学から提示された「正解のない問い」に対して、オリジナリティーのある解決策をプレゼンした。

 同プログラムは2019年度よりスタートし、3年目を迎えた。連携企業・大学は、京都大学iPS細胞研究所、グンゼ、祇園辻利、美濃吉、丹後王国ブルワリー。宇治市立黄檗中学校、京丹後市立弥栄中学校、京丹波町立瑞穂中学校、綾部市立東綾中学校、向日市立寺戸中学校の5校を研究指定校とし、宇治市立広野中学校も参加校としてコンテストに加わった。

 今年度は1人1台端末も活用し、コロナ禍でもオンラインで企業とつないで出前授業を行うなど、各校で工夫してプログラムを実施してきた。コンテストでは、連携企業・大学により選出された各校1チームがPBLの成果をプレゼンした。

 グンゼから「10年後の時代に合った『ここちよい』インナーウェアを創造してください」との課題が与えられていた東綾中学校は、着るだけで脂肪を燃焼してくれるインナーウェアを考えた。

 生徒らは「10年後はますます便利な家電などが開発され、運動不足の人が増える」と仮説を立て、運動不足が気になっている人たちをターゲットにした。「インナーウェアにすることで、より生活に取り込みやすくなるのではないか。激しい運動やつらい食事制限をしなくても、このインナーウェアを着れば脂肪が燃焼される」と発表。電気信号を送れる繊維やロボット繊維などを活用すれば、実現できるとの予測を立てている。

 祇園辻利から「世界中に日本茶を普及させるにはどうすればよいでしょうか」という課題が出されていた黄檗中学校は、「Gion Tsujiri Yado」という古民家をリノベーションした1日1組のお茶を楽しめる宿を提案した。

 ペットボトルの日本茶は普及しているものの、日本においても急須でお茶を入れて飲む人は3割と、「まだまだ日本茶本来の魅力が伝わっていない」と分析。そこで、「Gion Tsujiri Yado」では、日本茶を使ったコース料理や、日本茶を使ったアメニティーなどを用意。さらに近隣の農家と提携して茶摘み体験なども提供する。

 生徒らは実際に古民家のリノベーションにどのくらいの費用がかかるのかなどについても調査し、その上で価格の設定などを行った。実現可能かについては、府内で同様の1日1組の宿を経営している人にインタビュー取材をして検証し、コロナ禍でも安心して利用できるメリットなども打ち出した。

 審査員を務め、全6校のプレゼンを聞いた京都府教育庁の吉村要指導部長は「まず、課題の理解を深めることが大事だ。すぐに解決法を見つけるのではなく、そもそも課題は何なのかを理解していないと、ずれていってしまう」とアドバイス。加えて「発表する前に一度、自分たちの内容を批判的に見る目を持つことで、さらに考えが深まったり、実現性が高まったりしていく。ぜひ今後はそうしたことにも取り組んでほしい」と講評した。

最優秀賞を受賞した宇治市立黄檗中学校

 その後の審査で、最優秀賞には黄檗中学校が選ばれた。審査員長を務めた日新電機の小畑英明特別顧問は「宿の立地や建設費用などについても調査し、実現可能かについてもさまざまな角度から検討している、見事なプレゼンだった」と評価した。

 また、他校の発表については、「企業から与えられた課題を理解するという点が、全体的に少し低い評価だった。そのあたりはもう一度、各チームで振り返って検討してほしい」と要望。こうした取り組みは企業でも行われていると紹介した上で、「これから先、社会に出たときにこうしたプロセスやアプローチは重要。大人になってから学ぶよりも、中学生から学べるのは良いことだ。今後が非常に楽しみだ」と生徒らにエールを送った。

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