子供同士のチャット、6割が活用せず 国研がICT活用調査

 国立教育政策研究所(国研)は2月25日、「GIGAスクール構想に基づく1人1台端末の円滑な利活用に関する調査協力者会議」の第5回会合で、教委・学校を対象に行ったICT活用に関するウェブ調査の結果を報告した。それによると小学校・中学校とも、学習支援クラウドは約7割がひんぱんに活用しているのに対し、児童生徒同士のチャット機能は6割が「全く活用していない」など、ツールごとに差が出る結果となった。また小学校と比べて、中学校では動画教材やプログラミング向けツールを中心に、活用頻度が低い傾向があった。

デジタル教材・ソフトウェア・アプリ・サービス等の活用頻度別に見た学校の割合(%)、2021年度

 2020年度から21年度にかけて広がったICTの活用目的は、小学校・中学校とも「協働学習の促進」がトップ。小学校では次いで「児童への基礎・基本の定着」「児童一人一人の学習の深度に応じた学習支援」、中学校では次いで「問題発見・解決能力の育成」「各教科の『見方・考え方』を働かせる」といった目的が上位に並んだ。

 また、ICT環境整備と教育活用の推進で影響力の大きい「キーパーソン」がいるか否かで、活用頻度に差が生じている状況がうかがえ、特に中学校で差が大きかった。活用目的では「言語能力の育成」や、「各教科の『見方・考え方』を働かせる授業や学習活動の充実」などで差が目立った。21年度にキーパーソンがいる学校の割合は小学校で86%、中学校で89%だった。

 こうした校種による活用状況の違いについて、調査結果を報告した国立教育政策研究所の卯月由佳・初等中等教育研究部総括研究官は、併せて行った聞き取り調査の結果などから、「小学校では教員がICT活用でチームを組んだり、連携して研修を行ったりしやすいが、中学校では教科のまとまりで動くので、教科を超えたICT活用が比較的進みにくいのではないかという仮説を考えている」として、今後の分析の必要性を示唆した。

 同協力者会議の三井一希委員(常葉大学教育学部専任講師)はこの結果について、「この調査結果が学校現場の実態を反映していると感じる点は多い。特にチャット機能の活用が低調なのは、(チャットの)負のイメージが多くの学校現場にあるからではないか。環境整備が終わって児童生徒や教師が端末活用に慣れた先には、こうした負のイメージを払拭(ふっしょく)
しつつ、クラウドを介した学びやコミュニケーションが日常的に行われるようにしていく必要がある」と述べた。

 また堀田龍也座長代理(東北大学大学院情報科学研究科教授)は「チャットが使われていないのは多くの場合、規制や禁止がかかっているからで、ある意味、危険なことをさせないという教育委員会のビジョンがある。一方で主体的な学び、協働的な学びを一生懸命進めている現場では、子供同士がチャットで情報共有しながら学習を進めることは非常に有効だと感じる」と指摘した。

 今回の調査は20年度・21年度にかけて、全国から原則無作為抽出した市区町村教委の教育長・指導主事(教育委員会調査)と、調査対象の市区町村教委が所管する小中学校の中から原則無作為に抽出した小中学校の校長(学校調査)を対象に行われた。20年度の回答数は教育長395、指導主事415、小学校長693、中学校長373。21年度の回答数は教育長295、指導主事333、小学校長397、中学校長205。

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