文科省働き方改革フォーラム 教員が苦労や乗り越え方語る

 文科省は教育委員会や学校での働き方改革を促進するため、「学校における働き方改革フォーラム」を2月25日、オンラインで開催した。ICTを活用して校務の効率化を図った学校や、教員業務支援員を活用して教師の負担軽減を実現した学校の様子を動画で公開。パネルディスカッションにはそれらの学校の教員が参加し、「意識や能力の差がある中で、全体でICT化を進めていくのは難しかった」という率直な苦労や、その課題を乗り越えたポイントなどを語った。

「学校における働き方改革フォーラム」でのパネルディスカッション

 同フォーラムの冒頭では、ICTを活用した働き方改革について福岡県久留米市立篠山小学校と岐阜市立岐阜中央中学校に、教員業務支援員を活用した働き方改革について千葉市立加曽利中学校に、それぞれ密着したドキュメンタリー映像が紹介された。

 篠山小学校では改革前、手書きや印刷物での情報共有が主で、何が最新の情報なのか分からない状況だった。その他、さまざまなスケジュール管理を一本化したいなど、課題を洗い出すことから始めた。その後、ICT担当の加賀雄大教諭を中心に、最新情報は職員室のモニターで表示するようにしたり、チャット機能を活用したりするなどして、校務の効率化を図っていった。

 岐阜中央中学校では当初、教職員にとって「1人1台端末は、子どもたちの学びを止めないためのもの」だと捉えられており、「自分たちの働き方改革のためにも活用できる」という概念がなかったという。そこで、ICT担当の寺澤浩平教諭は、まず自分が実践して、便利なことなどを校内通信で発信したり、研修したりするなどした。さらに、職員会議のペーパーレス化を進めるなどし、校務においてもタブレットを活用する教員が増えたという。

 その後のパネルディスカッションにおいて、篠山小学校の楢橋閲子校長は「校務のICT化でお互いの仕事が見える化できたことが良かった。前例踏襲していた行事なども、『今年は新しく○○をやってみよう』という動きが出てきている」と教職員の変化を語った。

 さらに、校務のICT化を進める上で大変だったことについて、岐阜中央中学校の寺澤教諭は「教員によって、タブレットを使おうという意識の差や、活用能力の差があったので、全体で進めていくことの難しさを感じていた」と話し、その上で工夫したこととして、「とにかく最初は、タブレットを見てもらう習慣を付けようと考えた。職員会議の資料をチームズにアップし、チームズを見なければ資料を見られない状況を作った。そうするとICTに苦手意識のある教員も含め、みんなが使うようになり、会議の時間も短縮しつつある」と語った。

 岐阜中央中学校の上松英隆校長は「管理職がまず使っていくという気持ちでいる。例えば、市内の学校の管理職にアンケートをとる機会があったが、フォームズを使ってみたところ、集計の楽さに驚いた。自分自身が効果を感じることで、教職員にも使ってみようと言える」と強調した。

 篠山小学校の楢橋校長も「私もまず自分がやってみることを大事にしている。また、新しいことを始めるときは、まずは一番単純な機能や方法でやることを心掛けている。そうすれば、始めやすく続けやすいのではないか」と述べた。

 また、来年度の予算においても大幅に拡大されるなど、学校の働き方改革を進める上で注目されている教員業務支援員については、配置されていてもうまく活用しきれていないという声も多い。加曽利中学校では、職員室の教頭の机の前に「依頼書」を設置し、それに各教員が支援員にお願いしたい仕事を具体的に記載して依頼するなど、工夫を重ねている。

 パネルディスカッションで同校の米倉秀明教頭は「千葉市では数年前から支援員を積極的に活用していく方針を打ち出しており、教育委員会のガイドラインに沿って活用を進めている。支援員と教員の関係性を築くことは管理職の仕事であり、そこが重要なポイントだと思っている」と強調した。また、「『まずこの業務を支援員にお願いする』と、絞って依頼してみるとよいのではないか」とアドバイスした。

 実際に支援員に仕事を依頼している三木谷駿教諭は「支援員がいなかった頃は、部活動が終わった後に、2台しかない印刷機の前で多くの教員が待っている状態だった。支援員のおかげで各教員が放課後の時間を有効に使えるようになっており、今ではなくてはならない存在だ」と実感を語った。

 今回のドキュメンタリー映像や、「全国の学校における働き方改革事例集」(改訂版)は、文科省ホームページで公開されている。ICTを活用した校務効率化や教員業務支援員の活用事例の他にも、教育課程の編成を工夫した実施事例など、各自治体や学校の独自の取り組みが多数紹介されている。

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