臨時休校、改めて慎重な判断求める 末松文科相「子供に支障」

 新型コロナウイルスの感染拡大で政府が全国の学校に長期一斉休校を要請してからほぼ2年を迎え、末松信介文科相は3月1日の閣議後会見で、「教員と話すと、子供は(休校中に)生活のリズムが乱れたり、いらいらしていたりしたと聞かされる。簡単に休校すれば、子供たちに支障を来す。子供の安全安心を確保するには、やはり学校現場の意見を尊重したい」と述べ、感染対策として学校全体を閉める臨時休校はなるべく慎重に判断することが望ましいとの考えを改めて表明した。

一斉休校から2年を迎え、振り返る末松文科相

 末松文科相はまず、「2月9日時点で、全国の学校で学級閉鎖、学年閉鎖は13.8%、臨時休校は2.0%だった。臨時休校はいまも続いている。安倍晋三元首相が全国一斉の臨時休校を要請してからおおむね2年がたったが、新型コロナウイルス感染症の影響で、かけがえのない学校生活に制限が出てしまっており、とても胸が痛む思いをしている。感染対策の徹底については、子供たち、保護者、教職員の協力に心から感謝したい」と振り返った。

 文科省の対応については「この2年間、子供たちの安全を守りながら、学びを止めないため、その支援に全力を尽くしてきた」と説明。具体的な取り組みとして、▽GIGAスクール構想の加速▽非常時でも学びを止めない体制の整備▽約40年ぶりに小学校の学級編制基準を引き下げ、35人学級を実現したこと--を挙げ、「今回の経験を生かして、強靱(きょうじん)な学校教育を構築していく」と意気込みをみせた。

 さらに「教員と話すと、子供は学校に登校して、友人と楽しく会話をしながら、日常生活を送ることができず、生活のリズムが乱れたり、いらいらしていたりしたと聞かされる。休校した場合に、保護者が非常に困ってしまうという声もある。一方で、反対の意見を言われることも多く、休校については個人事務所にも賛否両方の非常にたくさんの電話がかかってくる」と、休校を巡ってさまざまな意見があることに言及。

 その上で「子供たちにとっては、簡単に休校すれば、支障を来すという気がする。子供の安全安心を確保するには、やはり学校現場の意見を尊重したいし、尊重するようにわれわれも指導している」と述べ、学校内に感染者が出た場合であっても学級閉鎖などを素早く判断して感染拡大を防ぎ、学校全体を閉鎖する臨時休校はなるべく避けるべきだとの考えを改めて示した。

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 いまから2年前に行われた全国一斉休校は、2020年2月27日に安倍元首相が要請。翌2月28日に全国の教委に休校要請を通知した当時の萩生田光一文科相は記者会見で「学校で子供たちに感染する事態が起これば、一瞬にしてクラスター化する危険がある」と理由を説明した。週明けの3月2日に始まった一斉休校は、結果として首都圏の1都3県と北海道の緊急事態宣言が解除される5月25日まで、約3カ月にわたって全国ほとんどの学校が休校するという、前例のない事態に発展した。

 この政治判断について、当時の萩生田文科相は21年1月5日の臨時会見で、「あの頃は、このウイルスの性質などがよく分からなかった。新型インフルエンザの時に、学校がクラスターになったという実体験に基づいて『学校を閉めないと危ないのではないか』という多くの意見に耳を傾け、最終的に決定した」と説明。09年春から新型インフルエンザが世界的に広がった際、日本国内では海外から帰国した関西圏の高校生が感染し、それを学校の臨時休校によって押さえ込んだ、という経験に基づいた判断だったことを明らかにしている。

 全国一斉休校が子供たちや保護者らも含めて社会的に与えた影響は大きく、文科省は冬の流行拡大に先立つ2020年11月、緊急事態宣言が出た場合であっても、全国一斉休校を要請しない方針を鮮明にした。その理由について、当時の萩生田文科相は11月27日の閣議後会見で、「児童生徒の発症や重症の割合は低く、学校を中心に感染が広がっている状況ではない」と説明。これ以降、感染拡大の波が来るたびに、文科省はできる限り臨時休校を回避するよう、学校現場に求めてきている。

 一方で、文科省はGIGAスクール構想の加速によって、学級閉鎖や臨時休校になった場合にも、オンラインによる学びの保障を確保できるよう、学校のICT環境整備を加速。

 今年に入り、オミクロン株による第6波で子供への感染も広がる中、末松文科相は1月11日の閣議後会見で、臨時休校は慎重に判断するとした方針を改めて確認すると同時に、臨時休校に踏み切る際には、オンラインを活用して学習を継続できる体制を整備するよう全国の教委に要請した。具体的には、全国全ての公立小中学校で、1人1台として配備したICT端末を家庭での持ち帰り学習でも使うよう求めている。

 さらに文科省は、今年2月2日に公表したガイドラインで、オミクロン株の潜伏期間が短いことを踏まえ、学校で児童生徒や教職員の感染が確認された場合には学級閉鎖や臨時休校の期間を、土日祝日を含めて「5日程度」とするよう、都道府県の教育委員会などに周知した。その際、臨時休校については「まずは感染者が所属する学級の閉鎖を検討するなど、必要な範囲、期間において、機動的に対応を行うことが重要」と強調している。

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