【国際女性デー】女子理工系進学の壁 「憧れ」の力で超える

 3月8日に国際女性デーを迎えるにあたり、女性の理系分野への進学を阻む偏見や解決策を考える、オンラインのパネルディスカッション(主催:レノボ・ジャパン)が7日、開かれた。学力には問題がないにもかかわらず、理学や工学などの分野に進む女性が少ないという問題に対し、登壇者からは、身近なロールモデルを増やすことの大切さや、そのための具体的な取り組みなどが語られた。

オンラインで行われたパネルディスカッション

 パネルディスカッションに登壇したのは、IT分野の男女格差解消に取り組む(一社)Waffleの田中沙弥果共同創業者兼CEO、理系を選択する女子生徒の割合を近年、大きく伸ばした大妻中学高校(東京都)の成島由美校長、IT大手レノボ・ジャパンのデビット・ベネット社長、同社大和研究所の塚本泰通執行役員。司会はCANVAS代表で慶應義塾大学教授の石戸奈々子氏が務めた。

 Waffleの田中氏は、OECD(経済協力開発機構)の生徒の学習到達度調査(PISA2018)で、日本の女子の数学・科学のリテラシーは男子に引けを取らないものの、「進路につながっていない」と指摘。IT関連の職への興味が低く、大学の理工系学部への進学が少ないことを問題視した。

 またレノボ・ジャパンのベネット社長は、同社の海外の拠点と比べ、日本では女性エンジニアの割合が低く、また採用にも苦戦することがあると明かした。同じく、塚本執行役員は「パソコンのユーザーの半数は女性。開発の場面で(男性だけの)偏ったメンバーで進めると、大事な意見を取り入れることができない」と、理工系を専門とする女性が少ないことによる現実的な課題を語った。

 こうした状況を乗り越える策として、大妻中学高校の成島校長は、校長着任後の5年間で、以前は3割に満たなかった理系を選択する女子生徒の割合を、半数にまで増やした成果を報告。

 充実したプログラミング教育に加えて、企業で活躍する人や研究者などを招き、生徒が保護者とともに話を聞ける機会を作っていることを話し、「保護者にとって、理系の進路として身近なのは医師や薬剤師で、工学への理解は乏しいことが多い。学校という世界で生きてきた教員も、工学部を出て何になれるのか、どれだけが研究者になり、どれだけが産業界に進むのかを語れないことがある。学校の壁を崩して社会に開く必要があると考えている。ロールモデルとなる人にたくさん会い、『理系に進んで、こんなにすてきに生きられるんだ』と、憧れを持ってもらいたい」と語った。

 Waffleの田中氏も「身近なロールモデルがあることは大切。例えば理系科目を教える教員の性別が女性なら、女子生徒が理系に進みやすくなるとされている」と述べた。同時に「体力のない女子は理系に向いていない、理系に進むと結婚できない、といった言葉を教員から掛けられる女子生徒がいる」として、「そうした声掛けがなくなるよう、教員向けのジェンダー研修会が必要では」と指摘した。

 さらに、レノボ・ジャパンのベネット社長は「テクノロジーにアクセスできるかどうかは重要。小さい頃からアクセスできる仕組みを作れば、男女関係なく、同じスタート地点に立つことができる。その意味で、昨年度から本格的に始まったGIGAスクール構想はとてもよいきっかけになるのではないか」と評価した。

 司会の石戸氏は「女性のみならず、社会全体でこの問題に取り組んでいくことが大事。今、変わらなければ、今後もずっと変われないという危機意識を持って、全員参加型でこの問題に取り組んでいく意志が問われている」と結んだ。

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