子供の意見表明機会を確保 自民がこども基本法骨子素案

 与党が今国会での成立を目指している「こども基本法」の骨子素案が3月10日、自民党の「こども・若者」輝く未来実現会議で了承され、公明党に提示された。骨子素案では理念として子供の基本的人権の尊重や、意見表明する機会の確保などが明記され、日本が1994年に批准している国連の「子どもの権利条約」の原則にのっとった内容となっている。

与党協議であいさつする加藤勝信衆院議員

 与党では今国会で子供を巡る法案として、すでに国会提出済みのこども家庭庁法案とセットでの通過を目指しており、条文化を急ぐ。公明党は党内で協議するとして持ち帰ったが、骨子素案を大筋で了承しているとみられる。

 示された骨子素案では、理念として、全ての子供について「個人として尊重され、その基本的人権が保障されるとともに、差別的取り扱いを受けることがないようにする」と明記。適切に養育されて、その生活を保障されるとともに「教育基本法の精神にのっとり教育を受ける機会が等しく与えられる」とした。

 さらに子供が「自己に直接関係する全ての事項について意見を表明する機会が確保され、最善の利益が優先して考慮される」と掲げられた。

 基本的施策としては、少子化社会対策基本法、子ども・若者育成支援推進法、子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づく子供施策を総合的に兼ねる大綱を定めるとした。子供施策の策定・実施などにあたっては、子供と子供を養育する者やそのほかの関係者の意見を反映させるために必要な措置をとることも規定している。

 また2023年度にスタートする子ども家庭庁に、こども施策推進会議を置くことを定め、大綱案の作成や施策の実施を推進することとし、その長に内閣総理大臣を置くとした。

 こども基本法を巡っては、行政から独立した立場で、子供の権利や利益を守るために、子供の代弁者として、専門的な見地から法制度の改善の提案や勧告ができる第三者機関も検討されたが、自民党の骨子素案には盛り込まれなかった。

自民党がまとめた「こども基本法案 骨子素案」の概要

※Pと書かれた部分は、表現を調整中

第一 総則

一 目的
 この法律は、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の理念にのっとり、次代の社会を担う全てのこどもが、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、その心身の状況、その置かれている環境等にかかわらず、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指して、こども施策に社会全体として取り組むため、こども施策に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、こども施策の基本となる事項を定めること等により、こども施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とすること。

二 定義
1 「こども」とは、心身の発達の過程にある者をいうこと。[※こども家庭庁設置法案の定義と同じ。]
2 「こども施策」とは、次に掲げる事項に関する施策その他のこどもに関する施策をいうこと。
①新生児期、乳幼児期、学童期及び思春期の各段階を経て、おとなになるまでの一連の成長の過程を通じたこどもの健やかな成長に対する支援
②[Pこどもを生み、育てる者に対する就労、結婚、妊娠、出産、育児等の各段階を通じた支援]
③家庭における養育環境その他こどもの養育環境の整備

三 基本理念
 こども施策は、次に掲げる事項を旨として行われなければならないこと。
①全てのこどもについて、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるとともに、差別的取扱いを受けることがないようにすること。
②全てのこどもについて、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されることその他の福祉を等しく保障される権利を有するとともに、教育基本法の精神にのっとり教育を受ける機会が等しく与えられること。
③こどもの年齢及び発達の程度に応じて、こどもが自己に直接関係する全ての事項について意見を表明する機会が確保されること。
④こどもの年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されること。
⑤[Pこどもの養育について父母その他の保護者が第一義的責任を有するとの認識の下、これらの者に対してその養育に関し十分な支援を行うとともに、こどもの養育の基本となる家庭での養育が困難なこどもにはできる限り家庭と同様の養育環境を確保することにより、こどもが心身ともに健やかに育成されるようにすること。]
⑥[P家庭や子育てに夢を持ち、かつ、次代の社会を担うこどもを安心して生み、育てることができる環境を整備すること。]

四 責務等
1.国·地方公共団体の責務
2.事業主の努力
3.国民の努力

五 年次報告
 政府によるこども施策に関する国会報告·公表についての規定を設けること。
 ※ この報告が、少子化社会対策基本法、子ども・若者育成支援推進法、及び子どもの貧困対策の推進に関する法律における報告/公表を兼ねる旨の規定を置く。

第二 基本的施策

一 こども施策に関する大綱
 政府は、こども施策を総合的に推進するため、こども施策に関する大綱(以下「大綱」という。)を定めなければならないこと。
 ※ この大綱が上記の三法律における大綱を兼ねる旨の規定を置く。
ニ 都道府県計画等
三 こども施策に対するこども等の意見の反映
 国及び地方公共団体は、こども施策の策定·実施·評価に当たっては、対象となるこども、こどもを養育する者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとすること。
四 こども等に対する支援の総合的かつ一体的な提供
 国は、こども施策の策定及び実施に当たっては、こどもに対する支援が、支援を必要とする事由、支援を行う関係機関、 支援の対象となるこどもの年齢又は居住する地域等にかかわらず、切れ目なく行われるようにするため、こどもに対する支援を総合的かつ一体的に行う体制の整備その他の必要な措置を講ずるものとすること。[Pこどもを生み、育てる者に対する就労、結婚、妊娠、出産、育児等の各段階に応じた支援についても、同様とすること。]
五 関係機関相互の有機的な連携の確保
六 協議会
七 この法律の趣旨及び内容についての周知
八 施策の充実及び予算の確保
 政府は、こども施策の幅広い展開その他のこども施策の一層の充実を図るとともに、その実施に必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。

第三 こども施策推進会議(仮称)

一 会議の設置及び所掌事務等
こども家庭庁に、こども施策推進会議 (以下「会議」という。)を置くこと。
※ この会議が上記の三法律における会議等を統合する旨の規定を置く。
二 会議の組織
 会議の会長は内閣総理大臣とし、委員は国務大臣とすること。

第四 その他

一 施行期日
 この法律は、○○から施行すること。

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