大学授業の先取りや高校間留学めざす 京都府で高校改革

 歯止めのかからぬ少子化や私立校との競合に苦しむ公立高校の魅力化を図ろうと、京都府教委はこのほど、有識者による検討会議の結果を踏まえ、「府立高校の在り方ビジョン」を策定した。来年度から一部の府立高校で、生徒たちが大学の講義をオンライン授業で受講したり、他の学校に通って希望する授業を受ける高校間留学を取り入れたりするなど、大掛かりな「高校改革」に乗り出す。

 京都府の公立中学校の卒業者数は約1万9000人。ピークだった1987年の約4万人の半数以下にまで激減している。また同府では、私立高校の授業料無償化施策によって私立人気が高まり、府立高校で定員割れが続発するなど深刻な問題を抱えている。こうした実態を改善しようと、府教委では昨年5月に大学や高校の教員と有識者らからなる検討会議を立ち上げ、府立高校が今後10年間に目指すべき将来像や方向性を話し合ってきた。

 「府立高校の在り方ビジョン」をまとめるにあたり、府教委では昨年7月、府立高校(全48校)の生徒を対象にアンケートを実施。自分の高校に「満足している」と答えたのは86%で、残る14%が「不満足」と回答した。上位に挙げられた理由は「授業」「校風・教育方針」「学校の施設」だった。検討会議は、こうしたデータや学校現場を巡る議論の積み重ねをもとに、魅力ある府立高校づくりが急務と判断した。

 同ビジョンは、長引く新型コロナウイルス感染の拡大やICT教育の急速な普及など急激な社会変化を背景に、府立高校が果たすべき役割として「公教育の場での選択肢の多様化」が必要と指摘している。とりわけ「高等教育機関との連携」や「地域社会との協働」などに重点を置いている。

 具体的な構想の1つは「大学教育の先取り履修」。例えば、来年度から一部の府立高校で、京都府立大学や福知山公立大学で行われる大学生向けの講義を、高校生もオンラインで受講できる仕組みを作るという。「大学での学びを高校で体験し、はっきりした目的意識をもって進学してもらう狙い」(高校改革推進室)で、大学の講義受講を高校の履修単位として認めているケースは全国でもほとんどないという。授業の内容やシステムは現在準備中。併せて高校と大学との連携強化のため、京都府立大に附属高校を新設する計画も進められている。

 同府教委ではこのほか、他校が行っている授業科目に別の高校の生徒が興味をもつ場合に、オンラインを使って遠隔授業で受講することができる仕組みや、生徒が地域を越えて短期間、他校に通える高校間留学なども検討している。さらにグローバル人材の育成を目指し、「国際バカロレア」認定校の導入なども構想している。今後10年かけて具体策を練り、順次実現していくことにしている。

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