特異な才能ゆえに不登校 オンライン支援で意欲引き出す

 特異な才能を持つ児童生徒への指導の在り方について検討している文科省の有識者会議は3月17日、オンラインで第8回会合を開き、NPO法人カタリバが不登校の児童生徒に向けてスタートした「オンライン教育支援センター」の取り組みを報告した。特異な才能を持つ児童生徒は不登校や不登校傾向になっているケースも多く、オンライン上での安心安全な場づくりや子どもの興味関心に基づいた学びが、学ぶ意欲を引き出すことが紹介された。

カタリバが報告した「オンライン教育支援センター」の取り組み

 カタリバでは、不登校の課題が深刻化する一方で、不登校の児童生徒への公的支援が不十分だとして、インターネット上に不登校の子どもたちと保護者の居場所である「オンライン教育支援センター」を開設し、さまざまなサポートを行っている。

 カタリバ代表理事の今村久美委員は「大前提として、特異な才能を持つ児童生徒に特化した支援をしてきたわけではなく、線引きをする方針はとっていない」とした上で、「特異な才能を持つ児童生徒の保護者に話を聞いているが、不登校傾向や、すでに不登校になっている児童生徒も多い。義務教育での長期欠席者数は約29万人だが、その中にはさまざまな学習の特性がある子が含まれていると考えられる」と指摘した。

 「オンライン教育支援センター」での子どもへの支援は、▽オンラインで安心安全な学び場と学習ツールを提供▽専門スタッフが個別支援計画などを作成▽専門研修を受けたメンターが子どもに伴走――の3つの特徴がある。特に、不登校の児童生徒は自信がなくなっている状態でスタートするため、どう学びに誘い出すかを重要視しているという。

 具体的な事例として、もともと生き物に関して豊富な知識を持っており、興味関心や学習能力に大きな凹凸がある小学1年生の児童が、この事業を活用。メンターが児童と関係性を築きながら、生き物に関する探究学習に伴走した。現在では、児童はオンライン上での友達ができたり、他の教科に対しても興味が出てきたりしており、AIドリルを活用して学習を進めているという。

 また、この事業を利用したユーザーのうち、54%が1年以上の不登校の状態でサービスを開始したが、オンライン支援で週1回以上、学びの場に参加している児童生徒は平均83%と、高い水準を保っている。こうした結果からも、今村委員は「オンラインの支援でも、子どもたちの学ぶ意欲を引き出すことができる。また、オンラインだからこそ支援とつながることができる親子は多い」と話した。

 同事業は、保護者からつながるだけでなく、東京都中野区や広島県教委など、自治体と連携することで支援を必要とする子どもとつながっている。今村委員は「どんな環境に生まれ育ち、どんな特性を持って生まれた子どもたちも、その可能性を伸ばしていける日本にしたいと思っている」と強調した。

 松村暢隆委員(関西大学名誉教授)はこの報告に対し、「従来の不登校児童生徒の実態調査では、不登校の契機として特異な才能による困難があったのかは分からない。特異な才能を持つ子が教室や外部機関に行きたくなるためには、どのように個別最適な学び、学習・社会情緒的困難に配慮した支援が提供できるかが課題であり、いわゆる浮きこぼれの子に関わる外部機関や団体からの提言が有用だ」と評価した。また、「特異な才能を持つ子に着目した連携の体制づくりのモデルを、文科省が支援すべきだ」と提案した。

 本田秀夫委員(信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授)は「不登校に一度なると、その後も社会に参加する意欲が落ちてしまう。特異な才能を持つ子のメンタルヘルス面から考えても、不登校になってからこうした事業に行きつくのではなく、例えば学校と併用できることが可能になればいいのではないか」と話した。

 それに対し今村委員は「例えば、数学に長けている子がいたら、数学の時間は教室とは別の部屋でGIGAスクール端末を活用して、こうした個別最適なオンライン事業につながる。そして次の時間はまた教室に戻って別の教科に取り組むなど、合理的配慮の一つのツールとしてオンラインを活用する未来が用意されれば、未然に救われる子が増えるだろう。就学前から併用していくことも検討していければいいのではないか」と考えを述べた。

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