大学の対面授業、新入生など優先に 新年度を前に文科省

 新年度の授業開始を前に、文科省は3月22日、大学などに対面授業の実施を促す事務連絡を改めて発出した。その中では来年度の新入生や、これまで新型コロナウイルスの影響を受けてきた在学生に対して、優先的に対面授業を実施することや、来年度の授業の実施方針を速やかに決定し、新入生を含む学生に正確に伝えることなどを求めた。同省はまた、3月下旬をめどに、来年度の前期授業の方針について調査を行う予定。末松信介文科相は同日の閣議後会見で「学生が安心して、学業に専念できる環境を確保してほしいと強く願っている」と話した。

対面授業の実施を要請する末松文科相

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、オンライン授業に切り替えた大学では、学生同士や教職員との交流ができず学生の意欲低下を招いたり、不安を抱えやすくなったりしたことが指摘されている。また、大学側がオンライン授業や学内施設の利用制限を行ったことに対し、学生から授業料や施設設備費について疑問が呈される例も出ている。

 これを踏まえ今回の通知では、入学して間もない新入生や、これまでコロナの影響を受けてきた在校生を中心に、効果的な学習の前提となる人間関係の構築ができるよう、対面授業の実施や図書館などの学内施設の利用を促した。また、学部や学年によって対面授業が少なくなる学生がいる場合は、学修機会の確保や精神面のケアに配慮することを求めた。

 やむを得ず対面授業や施設利用が制限される場合は、その必要性や合理性について学生に丁寧に説明することが必要だとした。また、学生がさまざまな不安を抱えやすい状況にあることを踏まえ、学生が相談しやすい体制を作り、カウンセラーや医師などの専門家と連携した対応を行うことや、そうした情報が学生一人一人に行き渡るよう、メールやSNSなどを使った情報発信に努めることなどを求めた。

 文科省が昨年10月、全国の国公私立大学・短期大学・高等専門学校を対象に行った、今年度後期の授業実施方針に関する調査では、1158校中、97.6%に当たる1130校が半分以上を対面授業とする予定と回答した。中でも7割以上を対面授業とする予定と回答した大学は964校で、全体の83.2%に上った。

 一方で全体の半分以上を対面授業で行う予定とした大学のうち、約6割は学部や学年によって授業形態に差があると回答。「履修人数の多い授業については、教室の収容定員との関係から遠隔授業にならざるを得ない」といった回答も多数見られた。

 また昨年12月末の別の調査では、学生の中退・休学の理由として「学生生活不適応・修学意欲低下」の割合が増加し、中退者では19.8%(前年度18.3%)、休学者では7.3%(同6.9%)を占めた。文科省は「オンライン授業の実施などによりキャンパスへ通う機会が十分に得られなかったことで、学生同士や、学生と教職員との人的交流ができていないと感じた者がいたことも考えられる」と指摘している。

 こうした状況も踏まえ、文科省が3月下旬をめどに行う調査では、学部別に加えて学年別の対面授業の割合を新たに尋ねるほか、授業方針に対する学生の理解・納得の状況、学内施設の利用可否などを引き続き調査する予定としている。

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