Edcamp NANIWAが開催 教育×地域を語り合う

 「教育×地域」をテーマに「第5回Edcamp NANIWA」が3月19日、大阪市立新巽中学校を会場にして行われた。Edcampとは、参加者主体となって当日のセッション内容を決めていく手法が特徴の教育カンファレンスで、2010年に米国フィラデルフィアでスタート以来、これまでに80以上の国と地域に拡大して行われてきた。感染症対策を十分に講じた上で、この日は中高生も含め50人以上の教育関係者が参加し、「地域と行政と学校ってどうつながればいいの?」や「地域と学校でできるPBLとは?」といったセッションテーマで、実践やアイデアを持ち寄りながら未来の教育について語り合った。

トークショーに登壇した(左から)中山准教授、山口区長、瀬戸内氏と、ファシリテーターを務めた新巽中の山本教諭(右)

 第1部では、「地域と学校で今できることって何だろう?」をテーマに、非認知能力について研究を重ねる岡山大学の中山芳一准教授と、民間人校長の経験もある大阪市生野区の山口照美区長、香川県を中心に活動する教育系YouTuberの瀬戸内サニー氏がトークセッションを繰り広げた。

 山口区長は「生野区はかなり少子化が進んでいる。子どもが減ってきている理由は、ここに戻ってきていないから。つまり、自分の子どもをこの地域で育てたいとは思わなかったということ。住みたい地域にしてこられなかったのが問題だ」と現状について話した。瀬戸内氏は「子どもたちが中学校を卒業するまでに、シビックプライドを高めていくことが大事だ」と指摘した。

 また、中山准教授は小中学校の総合的な学習の時間について、「自分の住んでいる地域にすでにあるものを調べて発表しているケースが多い」と指摘。それに対し、瀬戸内氏は「例えば、香川県のある小学校で『瀬戸内国際芸術祭が県民の中では盛り上がっていない』という課題を感知し、盛り上げるための企画書を地元テレビ局に持ち込んでいた。子どもが動けば、大人もみんな動く」と、地域を巻き込んだ学びの事例を挙げた。中山准教授は「総合的な学習の時間では、地域の課題や危機感からスタートするのもいい。その一押しをするのが先生の役割ではないか」と答えた。

 山口区長は「課題と思っていることも見方を変えてみればいい。例えば、生野区はいろいろな国の人が住んでいるが、見方を変えれば、住んでいるだけで世界中の友達ができるということ。子どもたちはクラスの日本語が苦手な子たちに、優しい日本語で話し掛けている。それが地域でも広がっていき、地域の社会課題を解決していくことになる。子どもたちが地域に貢献していくことを通して、シビックプライドを育てていきたい」と強調した。

 第2部では、参加者が今、気になっているテーマを付箋に書いてボードに張り出し、それらを12のテーマに分けてセッションがスタートした。

各セッションでは学生、教員、行政など、さまざまな立場の人たちが意見を共有した

 「地域と行政と学校はどうつながればいいの?」というテーマでセッションしたグループでは、中高生や大学生、教委、教員、民間企業の参加者が共に意見を出し合った。

 ある教員は「1人1台端末を子どもたちはとても上手に使っている。しかし、それを現場の教員もよく分かっていないし、行政はもっと知らない。悪い使い方など、子どもたちはしていない。子どもたちのこの1年間の変容を見ると驚くはずで、それを行政に知ってもらう機会を現場からつくりたい」と発言。「ICTだけではなく、地域と行政と学校が『どんな子どもたちを育てたいのか』の共通認識を持てていないのが問題ではないか」といった意見も出ていた。

 今後については「例えば、高齢者にスマホの使い方を子どもが教えるなど、生徒が地域の人に教えていくつながりができてもいいのでは」といったアイデアが出された。また、「『地域を変えていく』というのも大切だが、身近にいる子どものために行動することが大切なのでは」といった意見には参加者全員が大きく頷いていた。

 「地域でも学校でも育みたい非認知能力って?」というテーマでセッションしたグループでは、「今の学校教育は、教科書を詰め込んで、教員が満足して終わるというケースも多い。まず、教員や大人の非認知能力を高めなければいけない」「文科省が言っている『生きる力』とは何を指すのか。私は生きる力を育むためには、子どもが学びを選べる選択肢があることが大事だと思う。小学校教育から変わっていかないと、子どもたちがかわいそう」などと、それぞれの立場から考えが示された。

 ある保育士は「保育は非認知能力の塊。保育でやっていたことが小学校に引き継がれていないことが、今の大きな問題だと捉えている。非認知能力は目に見えない能力なので、保育所児童保育要録や幼稚園幼児指導要録には表現しきれないところがある。それをどう伝えていくのかを考えていきたい」と力を込めた。

 「Edcamp NANIWA」の次回開催は7月17日に予定されている。

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