子供主体の教科書・教材の在り方探る 中教審WGが初会合

 中教審の「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」の下に設けられた、デジタル教科書やデジタル教材を活用した新たな学びの姿を検討するワーキンググループ(WG)は3月23日、初回会合を開き、今後の議論の論点などを確認した。委員らからは、こうした新たな学びの姿を検討する上で、これまでの一斉授業を前提とした教科書や教材の在り方にとらわれず、子供たちが自ら学ぶ授業の中で、教科書や教材をどう使うかを考えていくべきだ、とする意見が寄せられた。

オンラインで行われたWGの初会合(Zoomで取材)

 文科省が提示した当面の検討事項には、デジタル教科書やデジタル教材、関連するソフトウェアなどの効果的な使い方や、デジタル教科書と紙の教科書の使い分け、デジタル教科書に必要な標準的な機能や、発達段階・教科等の特性に応じた使い方などが挙げられたほか、デジタル教科書・デジタル教材の費用負担の在り方、ネットワーク負荷の低減方策なども盛り込まれた。

 自由討議では委員からさまざまな論点が指摘された。教科書の位置付けに関しては、奈須正裕委員(上智大学総合人間科学部教授)が「教科書は一斉指導に向けて最適化されているもので、それが問い直されていることを前提とする必要がある。これまで児童生徒は、教員を介してしか情報にアクセスできなかったが、GIGAスクール端末が入ってきたことで、自分の都合と判断により、教員が準備したものではない情報にアクセスできるようになった。こういった学習モデルの中で、教科書とは何かを考えるべきではないか」と指摘した。

 平川理恵委員(広島県教育委員会教育長)も、授業で教科書を前から順に進めることに終始したり、教師用指導書に頼り過ぎたりする例があると指摘し、「教科書とは何なのか、という定義付けが本WGでなされるべきだと思う」と話した。また中野泰志委員(慶應義塾大学経済学部教授)は「デジタル教科書やデジタル教材の検討にあたっては、障害のある子供や外国にルーツを持つ子供を最初から想定してほしい」と求めた。

 水谷年孝委員(愛知県春日井市立高森台中学校長)は、同市の授業でGIGAスクール端末を日常的に活用しながら、情報の収集や整理、まとめなどを行ったり、個人で学習計画を立て、どのように学ぶかを決めたりする取り組みを報告。児童生徒の活動時間や扱うデータの量、コミュニケーション量が増え、教員の話を聞いてノートを取るだけの「教える授業」から、児童生徒が「自分たちで考え、学ぶ授業」に変わってきたと報告した。学習者用デジタル教科書は画面の制約などからほとんど使わないといい、紙の教科書やノートを併用している様子を紹介した。

 水谷委員は自校の取り組みについて、「最初は教員がコントロールをしていたが、少しずつ生徒に任せるようにして、スモールステップで進んできた。これまでは受け身の授業が多かったが、今まで発言がなかった子が発言するようになるなどの変化があり、先生たちもどんどん生徒に任せていこう、というように変わってきた」と振り返った。

 同WGの委員は次の通り(五十音順、敬称略)。

 ▽飯野眞幸(群馬県高崎市教育委員会教育長)▽石戸奈々子(NPO法人CANVAS理事長/慶應義塾大学教授)▽黒川弘一(教科書協会デジタル教科書政策特別委員会座長)▽執行純子(東京都大田区立入新井第一小学校長)▽神野元基(東明館学園理事・校長/宮崎市教育CIO)▽高橋純(東京学芸大学教育学部准教授)▽田村恭久(上智大学理工学部教授)▽中川一史(放送大学教養学部教授)▽長塚篤夫(順天中学校・高等学校長)▽中野泰志(慶應義塾大学経済学部教授)▽中村めぐみ(茨城県つくば市教育委員会指導主事)▽奈須正裕(上智大学総合人間科学部教授)▽平川理恵(広島県教育委員会教育長)▽堀田龍也(東北大学大学院情報科学研究科教授/東京学芸大学大学院教育学研究科教授)▽水谷年孝(愛知県春日井市立高森台中学校長)▽森達也(日本図書教材協会理事/全国図書教材協議会理事)▽渡辺弘司(日本学校保健会副会長/日本医師会常任理事)

あなたへのお薦め

 
特集