SOSの出し方教育の推進を 有識者会議が報告書案を了承

 次の「自殺総合対策大綱」の策定に向けて、コロナ禍の自殺防止などを検討していた厚労省の有識者会議は3月25日、第9回会合をオンラインで開き、事務局がこれまでの議論を提言に整理した報告書案を大筋で了承した。深刻な状況が続く子ども・若者の自殺対策については、子どもの心の診療に専門的に関わる医師や関係専門職の育成を進めるとともに、SOSの出し方教育の推進が必要とした。

 この日の会合で示された報告書案では、日本での自殺者数は全体で見れば減少傾向にあるものの、依然として先進国の中では高い水準にあり、特にコロナ禍の2020年には女性や子どもの自殺者が増えたと指摘。女性や子ども・若者への自殺対策を喫緊の課題としつつ、次期自殺総合対策大綱に向けた見直しに当たって、14個の論点を整理した。

自殺総合対策大綱見直しに向けた意見をまとめた厚労省有識者会議の報告書案の概要

 このうち、子ども・若者の自殺対策に関連したものでは、コロナ禍で従来の学校行事や部活動などが制限され、子どもたちへの心理的影響が長期的に危惧されることを踏まえたケアが必要であることに留意しつつ、SOSの出し方に関する教育や自殺予防教育を定期的に推進していくことを求めた。また、教員や保護者といった周囲の大人に対して、子どもがSOSを出した際にどのように受け止めるかについて学ぶ機会を設けることや、子どもや若者が安心して相談できる環境をつくるために、学校と行政や地域の連携体制を整備すべきだとした。

 さらに、子どもの心の診療について専門的に関わる医師や関係専門職の数が少なく、相談の予約が取りづらい状況もあるとして、こうした専門の医師や専門職の育成推進も打ち出した。

 この日の会合では、報告書案の内容について構成員から意見が寄せられ、座長の椿広計情報・システム研究機構理事・統計数理研究所長が事務局と協議して文言の修正を検討した上で、取りまとめることになった。報告書の取りまとめを受けて、政府は今年夏ごろをめどに、新たな自殺総合対策大綱の策定を行う。

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