レジリエントな学校 文科相「不利な状況で現場が頑張った」

 2020年春の長期臨時休校の期間中、厳しい状況でも児童と学校のつながりによって学力低下を回避した「レジリエンス」(柔軟さ・回復力)のある小学校の存在が明らかになったことについて、末松信介文科相は3月29日の閣議後会見で、「不利な状況の中でも一生懸命、現場が頑張ってくれた。感謝を申し上げたい」との受け止めを表明。「大変重要な知見が得られた。今回の分析結果をさまざまな機会を捉えて、教育委員会や学校に周知していきたい」と述べた。

 3月28日に報告された全国学力・学習状況調査の追加分析によると、20年春の長期休校では、臨時休校の長さにかかわらず、社会・経済的に厳しい家庭の児童が多い小学校ほど、学力調査での平均正答率が低い傾向が見られた。ただ、厳しい状況にあっても相対的に学力の高い「レジリエントな学校」が存在したことが統計的に発見された。

 この分析結果について質問を受けた末松文科相はまず、「一番に申し上げたいのは、不利な状況の中でも一生懸命、現場が頑張ってくれたのだなということ。これが本音。そういう意味では、学校現場の先生が喜びを感じておられると思う。感謝を申し上げたい」と答え、コロナ禍の異例の長期休校に見舞われても、児童とのつながりを維持しながら学力の低下を回避した学校現場の努力に謝意を示した。

 そうした学校の特徴について、「一つは、コロナ禍の前から児童の学習状況を把握し、きめ細かに個別学習指導や自主学習を徹底できるような取り組みを行ってきたこと。二つ目には、臨時休業の期間中に、例えば、学校図書館を開放するとか、児童と学校のつながりをできるだけ絶やさないようにするように努めるとか、学校が福祉的な役割を果たしていたこと――などが挙げられている。大変重要な知見が得られた、と受け止めている」と説明。

 「こうした知見を参考とし、取り組みを改善していただけるように、今回の分析結果をさまざまな機会を捉えて、教育委員会や学校に周知していきたい。引き続き、家庭の経済状況に関わらず、全ての子供たちが学びの機会を確保できる社会の実現に向けて取り組んでいきたい」と続けた。

 また、学校の福祉的な役割がレジリエンスの発揮に関わっているとの分析結果が出たことについて、「私は、学校の福祉的機能と教育的機能は、表裏一体的なものであると認識している。例えば、教育の結果を見てみたら、経済格差が原因であったということは、やっぱり認められないと思う」と述べた。

 全国学力・学習状況調査の追加分析は、文科省「全国的な学力調査に関する専門家会議」の耳塚寛明座長らの研究グループが行った。社会・経済的に困難な状況にありながらも、長期臨時休校の期間後に平均正答率が高かった「レジリエンスのある小学校」を特定し、そのうち3校に訪問調査を実施。その結果、長期休校中に▽質の高いプリントの配布・回収と週1回程度の登校日による学習相談▽学習計画表を配布し、休業期間中に進捗(しんちょく)状況を丁寧に確認▽週1~2回程度の電話連絡など家庭とのやりとりを絶やさない努力--などの取り組みを行い、学校図書館を開放したり、保護者が不在の児童の『預かり』をしたりするなど、「学校の『福祉的機能』ともいうべき役割を果たしていた」と結論付けた。

 レジリエンスは、逆境に直面した人々が、直面する困難にうまく対処し、その乗り切りを可能にする条件を把握するために用いられる概念。経済協力開発機構(OECD)による「生徒の学習到達度調査」(PISA)でも注目されている。

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