生徒指導提要の改訂試案を公表 今夏めどに完成へ

 生徒指導についての基本書となる「生徒指導提要」の改訂に向けて議論している文科省の協力者会議は3月29日、第7回会合で改訂版の試案を公表した。現行の生徒指導提要が作成された2010年以降、学校や児童生徒を取り巻く環境が大きく変化していることから、いじめ防止対策推進法の施行やICTの普及などを踏まえた記述を充実させたほか、多様な背景を持つ児童生徒の増加に対応する章を新たに設けた。同会議は4月以降も協議を続け、今夏をめどに文科省のウェブサイトで公開する。

 今回の試案のうち、生徒指導の基本的な進め方を示した第Ⅰ部では、生徒指導上の留意点として「児童の権利に関する条約」(1989年国連採択、日本は94年に批准)にある①児童生徒に対するいかなる差別もしない②児童生徒にとって最もよいことを第一に考えること③児童生徒の命や生存、発達が保証されること④児童生徒は自由に自分の意見を表明する権利をもっていること――の4つの原則を理解することの重要性を明記した。

 また、ICTを活用した生徒指導を推進することとし、具体的には▽データを用いた生徒指導と学習指導との関連付け▽悩みや不安を抱える児童生徒の早期発見・対応▽不登校児童生徒等の教育機会の確保――を挙げた。また幼児教育との円滑な接続や、成年年齢の18歳への引き下げなどを踏まえ、社会的自立に向けた取り組みを意識することが大切だとした。

 いじめや暴力行為など個別の課題に関する対応を示した第Ⅱ部では、2013年に制定された「いじめ防止対策推進法」を踏まえ、いじめ防止のための基本方針の策定と見直し、実効性のある組織体制、いじめの重大事態調査などの記述を充実させた。

 また「多様な背景を持つ児童生徒への生徒指導」の章では、発達障害や精神疾患、健康問題のほか、子供の貧困やヤングケアラー、外国人児童生徒などへの対応を盛り込んだ。「インターネット・携帯電話にかかわる問題」の章では、GIGAスクール構想で整備された1人1台端末の扱いについて、教員が児童生徒の書き込みを確認できるようにするなど、配慮が必要な例も示した。

 八並光俊座長(東京理科大学教育支援機構教職教育センター教授・日本生徒指導学会会長)は、今回の改訂試案について「各章でトピックごとに、関連法規や組織の体制の知識、未然防止・早期対応の考え方、課題解決の方法などについて見られるようにしている」と説明。協力者会議は今後、各章の調整や表記など、改訂に向けた議論を続ける。

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