「話せるようにならない」 都スピーキングテストに専門家苦言

 大学教授らでつくる「入試改革を考える会」(代表・大内裕和中京大学教授)は3月30日、文科省で会見し、来年度から都立高入試に英語スピーキングテストが導入されることについての問題点を訴えた。会見に出席した立教大学の鳥飼玖美子名誉教授は、「英語スピーキングテストを導入することにより、中学校の授業が試験対策に時間をとってしまうことを懸念している。そんなことをしても英語を話せるようにはならない」と警鐘を鳴らした。

 都教委は来年度から都立高入試に英語スピーキングテストを活用する予定で、実施日は今年11月27日(予備日12月18日)。テストはタブレット端末・イヤホンマイク・防音用イヤーマフを使用し、解答音声を録音する方式。内容は4つのパートに分かれており、それぞれのパートに応じてコミュニケーションの達成度(目的の成立)、言語使用(語彙や表現の使い方や幅広さ、内容の一貫性、論理構成)、音声(発音、イントネーション)が評価される。今年度のプレテストでは、冬休みの思い出を語ったり、イラストを読解して考えを述べたりといった問題が出題されている。

文科省で会見する「入試改革を考える会」のメンバーと鳥飼名誉教授(左)

 鳥飼名誉教授は英語スピーキングテストの導入により、授業でも試験対策に時間をとられることを懸念。「話すということは、そんなに簡単なことではない。日常生活の決まり文句を暗記して試験対策をしたから話せるようになるかというと、そうはならない。仕事でも使えるような論理的な主張ができるようになるには、一朝一夕にはいかない」と強調した。

 さらに、「試験対策により、決まり文句を覚えたら全て通じるという誤った感覚を植え付けてしまいかねない。生身の人間同士がぶつかった時は、決まり文句を使ってみても、思いもよらない反応が返ってきたりする。それが難しさでもあり、面白さでもある。正しいか正しくないか、ネイティブかそうじゃないかということだけにとらわれてしまっていいのか」と疑問を呈した。

 また、中学生の発達段階について「母語がほぼ確立され、吸収力もあり、柔軟力もある、外国語学習には最適な時期」だとし、「英語の音とリズムがどのように成り立っているのか、英語はどう文を組み立て、論理を構成していくのか。義務教育の中学校の間に、こうした最低限の土台をつくってあげられたら、その後は自分で学ぶことも出来る」と述べた。

 こうした土台をつくるために鳥飼名誉教授は、少人数クラスの実現や、指導する教員の技能向上、教員養成の再構築などが必要だと指摘。中学校英語科教員に対しては、教員自身の音声力や文法力の強化はもちろんのこと、「英語の土台をつくる上で、教員自身が自信を持って日本語との違いの面白さを伝えないと、生徒たちも面白いと思わない。教員が英語の位置付けや、なぜ学ぶ必要があるのかを理解していないと、生徒には響かない。入試のための英語ではない」と強調した。

 同会では他にも、採点の公平性や正確性、不受験者の扱いなどの問題点を指摘しており、来年度導入の中止・延期を求めるため、4月12日にオンライン署名を都教委に提出する予定だという。

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