未来の人材育成に向け論点整理案を提示 教育未来創造会議

 わが国の未来を担う人材を育成するため、高等教育をはじめとする教育の在り方などを検討するため設置された政府の教育未来創造会議が3月30日、開かれた。より具体的な議題について検討するワーキング・グループ(WG)による会議はこれまでに3回開かれているが、本会議としては昨年12月27日以来2回目。大学が果たす役割や学びの支援、社会人の学び直し(リカレント教育)などについてWGで議論をまとめた論点整理案がこの日示され、討議された。

 論点整理案では、未来の日本を支える人物像として、高い専門性や技術力を身に付け、自分自身で課題を設定して考えを深く掘り下げ、多様な人とコミュニケーションをとりながら新たな価値やビジョンを創造し、社会問題の解決を図っていける人材と設定。

 そのため、文理の壁を超えた普遍的知識・能力、デジタルや人工知能・脱炭素などの分野をけん引できる力を持つ人材の育成のほか、理工農系を専攻する女性や高い付加価値を生み出す修士・博士の増加などを重視する必要があると指摘。全ての子供が努力する意思があれば学べ、年齢・性別・地域などにかかわらず誰もが学び活躍できる環境整備、一生学び続ける意識や学びのモチベーションの涵養、幼児期段階から企業内までを通じた人材育成・教育への投資の強化などを進めていくとした。

 その上で産官学一体となっての具体的方策として、大学などの機能の強化、新たな時代に対応する学びの支援の充実、学び直しを促進するための環境整備を挙げた。この中で大学の強化については、大学の再編促進、学部・大学院を通じた文理横断教育の推進と卒業後の人材受け入れ強化、グローバル人材の育成強化、デジタル技術を駆使したハイブリッド型教育の転換などが盛り込まれた。

 学びの支援では、奨学金制度について大学後の所得に応じた「出世払い」や、自治体・企業による返還などの取り組みなどについて触れられた。学び直しについては、成果の適切な評価、学ぶ意欲がある人への支援の充実や環境整備、女性支援などの取り組みを進めるとした。

 この論点整理案について委員からは「博士課程を出ても就職できない学生の行き先の保障が必要だ」「デジタル化を踏まえた人材育成拡充のためには、臨時的にでも大学や高専で学生と教員の定員増加に着手すべきだ」「卒業後に所得に応じて奨学金を返還するHECSの試験的導入も考えられるのではないか。その際、修士や博士も対象にしてはどうか」「地方の国立大学の振興は重要であり、しっかりとした財政支援を望みたい」といった発言があった。

 会議には議長である岸田文雄首相も出席し、「諸外国に比べSTEM(科学・技術・工学・数学)分野で学ぶ学生の割合が著しく低い実態や、少子化などの状況も踏まえ、質量の両面から具体的な目標を設定して、デジタルなどの成長分野への学部再編、高校、大学の文理横断教育の推進などに向けた具体策とともに、奨学金についてライフイベントも踏まえ、大学卒業後の所得に応じた出世払い型の創設、所得の向上や労働移動の円滑化を図るため、学び直しによるキャリアアップの促進、方策などについて、女性活躍の視点も踏まえより踏み込んだ提言の検討を進めていただきたい」とあいさつした。

 教育未来創造会議ではWGの議論を踏まえ、5月をめどに提言を取りまとめて、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に反映させる予定としている。

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