生徒の悩みをAI診断 1人1台端末を活用、奈良県葛城市

 子どもの悩みをAIが瞬時に見つけます――。奈良県葛城(かつらぎ)市は4月から、1人1台配布されたタブレット端末を活用し、子どもたちが書いた日記をもとに、いじめや虐待などの悩みを抱えていないかどうかを診断できるシステムをスタートさせる。新型コロナウイルス感染の長期化で子どもたちが孤立や孤独を深める中、身近なタブレットを用いて悩みの早期発見につなげられないか、担当職員らが1年がかりで知恵を寄せ合い実現にこぎ着けたという。

 このシステムは「AI相談システム」。4月から同市立中学校の全生徒(2校、約1100人)を対象に運用を始める。タブレットの中にあるアイコン「蓮花のAI相談室」をクリックすると、横書きの日記フォーマットが現れて匿名で思い思いに記入できる仕組み。蓮花は同市のマスコットキャラクターで、「安心して本音を記入してもらえるよう、自分の名前を記入しなくていいようにした」(こども・若者サポートセンター)という。

 書き終えて送信すると、AIが直ちに分析。結果に応じて、5段階の人の顔マークのいずれかを選び、自動的にタブレット上に表示する。顔マークは笑顔から泣き顔まで悩みの程度に応じて変わるほか、AIが何らかの周囲の支援が必要と判断した時には、教師や両親など身近な大人などに相談するよう呼び掛けるメッセージも出る仕掛け。1週間の授業が終わった金曜日の終礼の時間に、10~15分ほどで記入してもらうという。

 瞬時に分析できる理由は、AIに悩みを抱えていた子どもたちが書いた作文や文章などのビッグデータをあらかじめ読み込ませているため。個別の日記を分析した際、文中にある単語や表現、文脈などに悩みの兆候がないかどうかをチェックして診断できるようプログラミングされている。今年2月と3月に試行テストをしたところ、「結果は上々」(同センター)だったという。

 同市では、昨年から教育と福祉の両部門の職員たちが検討を重ね、子どもたちの身近にあるタブレット端末を活用して「単なるSNS相談などではなく、子どもの素直な訴えを引き出して専門家が受け止められるシステムを作れないか」とコンセプト固めを行った。それを基に複数のIT企業から提案を募り、神戸市内で医療機関を対象に生活習慣改善のITソリューション開発などに取り組む企業への委託を決めたという。システム開発費は約990万円。

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