「わいせつ教員根絶に全力で取り組む」 法施行で文科相

 児童生徒に対するわいせつ行為やセクハラ行為を性暴力と定義し、加害教員に再び教壇に立たせないようにすることなどを目的とした「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が4月1日、施行された。懲戒免職による免許状失効者の再取得を厳格化し、児童生徒が学校で安心して過ごせる環境作りを進めるため制定された同法。末松信介文科相は同日の閣議後会見で、「未然防止のための取り組みや、免許状失効者に関するデータベースの構築など、法や基本指針に基づく取り組みをしっかり進めていきたい。子供を守り育てる立場にある教員が、子供に性暴力等を行うことは断じてあってはならないことであり、児童生徒を教育職員による性暴力の犠牲者とさせないという断固たる決意で、わいせつ教員の根絶に向け全力で取り組んでいきたい」と決意を述べた。

 文科省の調査によると、2020年度に性犯罪・性暴力等で懲戒などの処分を受けた公立学校の教員は、全国で200人に上った。うち96人は「児童生徒等」に対する性犯罪・性暴力による処分で、91人が懲戒免職となった。その前年度も児童生徒等に対する性犯罪・性暴力によって126人が処分(うち121人が懲戒免職)されており、わいせつ教員が社会問題化していた。

 これを受けて、21年の通常国会で、与野党による議員立法として提案された同法が全会一致で成立。教員による児童生徒へのわいせつ行為が「教員による児童生徒性暴力等」と定義され、わいせつ行為で懲戒免職となった教員が実質的に再任用されない仕組みを作った。

 施行を前に文科省が策定した同法に関する基本指針では「(児童生徒へのわいせつ行為で)懲戒免職となった教員が、教壇に戻ってくるという事態はあってはならない」との考え方を確認。教委など教員免許状の授与権者に対し、「児童生徒性暴力等を再び行う蓋然(がいぜん)性が少しでも認められる場合は、基本的に再授与を行わないことが適当である」と指摘した。その上で、懲戒免職となった教員に対する教員免許状の再授与については、 医療・心理・福祉・ 法律の専門家などで構成する都道府県教育職員免許状再授与審査会が、出席委員の全会一致で議決することも求め、再任用のハードルをいっそう高いものとした。

会見する「全国学校ハラスメント被害者連絡会」

 同法施行のこの日、わいせつ教員の厳罰化を求めてきた「全国学校ハラスメント被害者連絡会」が記者会見。共同代表の郡司真子さんは「私たちが求めていたこの法律に非常に期待している。先生たちはもちろん、保護者や子供たちにこのような問題があると知ってもらえるだけでも、法律ができた意義がある」と評価。

 今後の課題として、➀幼児期からの性教育、人権教育の実施②教員養成課程における研修、学校内での先生の指導の徹底③防犯カメラの設置や死角を作らない学校内の防犯体制の整備④わいせつ教員の罰則規定の充実と、法の対象を大学、大学院、専門学校にも拡大⑤学校とは関係のない常設の第三者機関の設置⑥軽微だと思われていた加害やグルーミング(性的行為を目的にした手なずけ)に対する徹底的な処罰――を挙げた。

 また自身も教員から性暴力を受けた経験のある札幌市出身の写真家、石田郁子さんも同日、記者会見を行い、「法律は児童生徒の人権の尊重や保護が強調されており、わいせつ行為も性暴力としっかり書かれたのでよかった。基本指針でも事案が起きた場合の措置について、具体性が増した点が評価できる」と話した。一方、今度の課題としては、「子供たちが声を上げても、見て見ぬふりをしている教員がいるので、予防や調査に力を入れてもらえることを願っている」と述べた。

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