児童生徒に「つなぐ手段を確保」 文科省、新型コロナの指針を改訂

 新型コロナウイルス感染拡大が長引く中、文科省は4月4日、新年度のスタートに合わせ、児童生徒や教職員に感染者が発生した場合の対応など、最新の方針を整理してまとめた学校運営ガイドラインと衛生管理マニュアルの改訂版を公表した。ワクチン接種を希望する教職員や児童生徒が受けられるように環境整備に努めることを求めたほか、児童生徒がやむを得ず登校できない場合には、学校と自宅をつなぐ手段を確保し、児童生徒とのコミュニケーションを絶やさないように取り組むことの重要性を改めて強調した。

 ガイドラインの正式名称は「新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のためのガイドライン」で、都道府県の教育委員会などに4月1日付で通知した。ガイドラインは2020年6月に策定され、21年2月に改訂されており、今回は2回目の改訂に当たる。衛生管理マニュアルの正式名称は「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」でこれまで繰り返し改訂されており、今回はバージョン8とされている。

 ガイドラインの主な改訂内容を見ると、学校における感染症対策の考え方として、手洗い、せきエチケット、換気と「3つの密(密閉・密集・密接)」を避けるといった基本対策の徹底に加え、ワクチンには発症の予防効果が期待されるとして「希望する教職員や児童生徒が接種を受けることができるよう、環境整備に努める」と、新たに盛り込んだ。

 児童生徒の感染が判明した場合や濃厚接触者に特定された場合には、従来通り「出席停止の措置をとる」とされている。ただ、保健所の業務逼迫(ひっぱく)などを想定し、「濃厚接触者に特定されない場合であっても、学校で感染者と接触があった者のうち、会話の際にマスクを着用していないなど、感染対策を行わずに飲食を共にした者らは出席停止の措置をとる」と明記。保健所による濃厚接触者の特定が行われなくても、感染者との接触を考慮して、学校の判断で児童生徒を出席停止にするよう求める項目を追記した。

 学級閉鎖や臨時休校など学校の臨時休業については、まず感染者が所属する学級の閉鎖を検討するなど「必要な範囲、期間において機動的に対応」することを強調する一方、保健所との相談を前提とする文言は削除。地域一斉の臨時休校については「子供の健やかな学びの保障や心身への影響、幼児児童の保護者の就労への影響などの観点から、慎重に検討する必要がある」との従来方針を堅持した。

 教職員に感染が拡大し、学校教育活動の継続が脅かされるケースを新たに想定し、「感染などにより校内の教員で授業を行うことが困難な場合には、教育委員会と連携し、一時的に必要な教員を確保することも考えられる」と指摘。学校内だけで教員を確保できない場合には、児童生徒の学びを継続するため、積極的に教育委員会に助けを求めるよう促した。

 学習指導については、本人が感染したり濃厚接触者となったりしたことで、児童生徒が一定期間登校できない場合に、自宅に持ち帰ったICT端末を使って朝の会や健康観察で会話するなど、「登校できなくても学校と自宅などをつなぐ手段を確保」する必要性を指摘。「児童生徒とコミュニケーションを絶やさず、学びを止めないようにする取り組みを行うことが重要」と強調した。こうした指針は、1月12日付事務連絡で示した内容を再録している。

 これまでの通知などで示してきた学習指導の取り扱いについては、感染症による出席停止や学級閉鎖などで登校できない児童生徒が自宅で行った学習を、学習評価に反映できることを改めて明記。教員による同時双方向型のオンライン授業を「特例の授業」として指導要録の「指導に関する記録」として記載し、参加日数を「出欠の記録」の「備考」に転記することなども記載した。

 衛生管理マニュアルの主な改訂点を見ると、まず、今年1月からの第6波で、児童生徒の感染者数が大きく増加。オミクロン株による子供への感染の特徴について、「小児例は無症状者/軽症者が多いが、重篤な基礎疾患を認める場合は重症化に注意する必要がある」「重症化、死亡の割合は若者は低い傾向」「オミクロン株は再感染リスクの増加、ワクチンの効果を弱める可能性がある一方、入院リスクや重症化リスクは低い可能性」と説明した。

 こうした特徴を踏まえ、学校の感染レベルを判断するときには、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく都道府県単位の感染レベルとは別に、児童生徒や教職員の生活圏におけるまん延状況などよって「判断することが重要」と指摘。地域ごとの行動基準を設定する際の考え方を明示した。

 感染の疑いがある児童生徒の登校については、学校運営ガイドラインの改訂と同じく、保健所の業務逼迫(ひっぱく)などを想定し、「濃厚接触者に特定されない場合であっても、感染者との会話の際にマスクを着用していないなど、感染対策を行わずに飲食を共にした者らは出席停止」と明記。濃厚接触者や行政検査の対象者と同居している場合については、特段登校を控えるよう求める必要はないことも盛り込んだ。これらは3月17日付事務連絡の内容を取り込んでいる。

 学校活動の具体的な場面に応じた感染予防策についても追記した。入学式や始業式などの儀式的行事では、基本的な感染症対策に加え、式典の時間の短縮や、ICTを活用した対面とオンラインとのハイブリッド方式による開催、在校生や保護者の参加人数を絞ることなどを説明。部活動については、緊急事態宣言の対象となる地域では、他校との練習試合や合宿の制限、部活動終了後の生徒同士の食事を控えるなどの取り組みを示した。3月18日付事務連絡の内容を反映している。

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