文科省、幼保小連携の手引き公開 今後3年かけ集中的に推進

 幼児教育と小学校との円滑な接続について議論してきた中教審の「幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会」が審議経過報告をまとめたことを受け、文科省は4月5日、今年度から開始する「幼保小の架け橋プログラム」に向けた手引きを公開し、教育委員会や幼稚園・保育所などの担当課に向けて事務連絡を出した。今後3年間をかけ集中的に、全国の都道府県・市区町村で5歳児~小学1年生を対象としたカリキュラムなどの充実・改善を図るとともに、モデル地域での先進的な取り組みを並行して進める。今回の手引きではカリキュラム開発の進め方のイメージや、幼児教育と小学校の関係者が共に意識するべき「共通の視点」の例などが示された。

 審議経過報告では、幼稚園教育要領や保育所保育指針などに示されている「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を手掛かりに、「社会に開かれたカリキュラム」の観点から小学校以降のカリキュラムと接続していくとともに、幼児教育・小学校教育の関係者が認識を共有していくという方向性が示された。

 これを踏まえ、5歳児から小学校1年生の2年間を「架け橋期」とし、一人一人の多様性に配慮した上で、全ての子供に学びや生活の基盤を育む「幼保小の架け橋プログラム」を今年度に開始する。同プログラムでは、全国的な架け橋期の教育の充実と、モデル地域における先進事例の実践を並行して推進することとされており、今回公表された手引きは、その両方の場面で活用することを想定している。

 手引きではまず、現状の幼保小連携の課題として「半数以上の園が行事の交流にとどまり、資質・能力をつなぐカリキュラムの編成・実施が行われていない」「『幼児期の終わりまでに育ってほしい姿』が到達目標と誤解され、連携の手掛かりとして十分機能していない」といった点を指摘。その上で、幼児教育と小学校教育の関係者が連携してカリキュラム・教育方法の充実・改善に当たることや、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を正しく理解し、教育方法の改善に生かす方法を普及することなどを、同プログラムの狙いとした。

 手引きでは次いで、各地域で架け橋期のカリキュラムを開発する際の考え方を示しており、イメージとして幼児教育や小学校の関係者、教育委員会、子育て担当部局、教員養成大学、保護者や地域の関係者などからなる「カリキュラム開発会議」を立ち上げ、各園・小学校における教育課程編成・指導計画作成の前提となる架け橋期のカリキュラム策定を進めるケースを挙げた。

 カリキュラムの内容は、幼保小の関係者が「共通の視点」を持って策定することを重視。共通の視点の例としては、「架け橋期を通してどのような子供を育てたいか」という期待する子供像や、その育成に向けて遊びや学びのプロセスをどう深めていくか、園の活動と小学校の各教科等の教育内容や活動をどうつなげていくか、先生の関わりや環境作りにどのような工夫が必要か――といった観点を挙げつつ、地域での工夫を促した。

 カリキュラム開発を進めるにあたっては①基盤作り(準備)②検討・開発③実施・検証④改善・発展サイクルの定着――といったプロセスを示した。また実際に園・小学校で取り組む際には、①園・小学校での活動の共有や子供の交流から始め、②幼保小の先生が意見交換したり、子供の交流を進めたりする中で、共通の視点をもとにカリキュラムを具体化し、③園・小学校におけるカリキュラム編成・指導計画作成などを行い、④子供のウェルビーイングを高める観点から見直しを図る――といった流れを例示した。

 文科省が合わせて公開した手引きの「参考資料」では、幼保小の関係者が「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の共通理解のもとに、子供の姿を中心に据えて話し合うことができるよう、具体的な取り組み事例を示している。手引き・参考資料は文科省のウェブサイトで確認できる。

 文科省は今年度予算で「幼保小の架け橋プログラム事業」として1億8000万円を計上しており、モデル地域(12カ所)でのカリキュラム開発・取り組みを進めるとともに、研究機関による客観的な成果検証を行う予定。

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