精神疾患を学ぶ高校生へ 養護教諭の思い集めた冊子作成

 今年度から始まった高校の新学習指導要領で「保健体育」に精神疾患についての内容が加わったことを受け、群馬大学医学部精神科はこのほど、養護教諭や親の経験談を集めた冊子『君のことを気にかけている、親の思い 保健室のつぶやき』を作成した。がんや生活習慣病などの「いずれなるかもしれない病気」と異なり、精神疾患は今の自分にも起こり得るため、自分事として捉えてほしいということや、周りに気に掛けている人がいることを思い出すきっかけになればと制作された。

精神疾患を学ぶ高校生に向けて制作された『君のことを気にかけている、親の思い 保健室のつぶやき』

 冊子は、昨年度の群馬大学の地域貢献事業に採択された「ユース世代のこころの健康社会に向けた県内ネットワークの推進」の取り組みの一環でつくられた。小学校から高校までの養護教諭がこれまでに接してきた子どもたちとのエピソードや、精神疾患のある子どもと向き合ってきた親の思いがつづられている。

 ある中学校の養護教諭は、保健室を訪れるさまざまな生徒とのやりとりを振り返りながら、「保健室には、身体的症状から心の問題まで本当にたくさんの問題が持ち込まれる。大人になると『こんなことで!?』と思うことが、思春期の生徒の心を悩ませている。そんな生徒に『あなたに会えてよかった』と言い続けられるといいなと思う」と、養護教諭としてのスタンスを再確認する。

 また、高校中退後、20代で統合失調症と診断された子どもがいる親は、家族としてどう向き合うか葛藤した日々を思い返しながら、統合失調症が社会から切り離され、学校でも正しく理解する機会がなかったと指摘。「長い人生の中で、病で落ち込み、もう駄目と思う時があるかも知れません。だからこそ、それでも大丈夫と思える、そして支え合える社会を皆で目指して行ってほしい」と、精神疾患について学ぶ重要性を呼び掛ける。

 群馬大学大学院医学系研究科の福田正人教授は「保健体育の教科書で学ぶことは、どうしても知識が中心になってしまうと思う。生徒が『自分自身のこと』『自分の助けになること』と感じられるよう、この冊子を学校で生徒に広く案内してもらえれば」と話している。

 冊子は群馬大学大学院医学系研究科神経精神医学教室のホームページからダウンロードできる。

あなたへのお薦め

 
特集