5万人未満地域の対策課題 女性の理工系進路選択と地域性調査

 さまざまな分野でのイノベーションに向け、女性理工系人材の増加が国家的課題となる中、内閣府は女子生徒の理工系進路選択と地域性調査を実施し、調査報告書をこのほど公表した。それによると人口5万人未満の地域で女性の理工系進路選択に課題が多いとされ、今後重点的に取り組む必要性が指摘された。

 同調査は昨年12月に行われ、全国の高校生4554人(女子2485人、男子2069人)からウェブアンケートで回答を得た。また、文科省「学校基本調査」による出身都道府県ごとの学部別男女別入学者数の集計なども用いて、実態把握を行った。

 調査報告書によると、理学分野における女性比率と理学部の収容力、親世代の女性大卒者率、女性の4年制大学進学率との間には正の相関が見られた。一方で県内総生産に占める製造業や情報通信業の割合とは、有意な相関が見られなかった。

 工学分野の入学者における女性比率と、県内総生産に占める情報通信業の割合、理科教員における女性比率との間には正の相関が見られた。女性のロールモデルとしての女性教員に教わる経験が多いほど、工学分野への進学志向が高まることがうかがえる結果となった。

 地域性との関連では、理工系分野への進路選択では地域における学部の設置状況、保護者の学歴・所得水準といった社会経済状況が影響を与えていることが確認された。教科・科目の好き嫌いや成績、理系のイメージなどは人口規模による大きな差は見られなかった。

 それにも関わらず進学には地域差が現れており、人口規模による差が見られるものとしては理系的経験があることが分かった。具体的には幼少期の科学館・博物館体験や、大学・自治体が主催する理系イベントへの参加経験は、「5万人未満」の地域では女性の割合が低くなっていた。

 これらを踏まえて内閣府では、求められる取り組みとして、「5万人未満」の地域で女子生徒の進学意欲を高めるとともに、理工系で学ぶイメージを具体化させるため、情報提供などによる高等教育機関へのアクセスの改善や、家庭環境や居住地により進学しにくい生徒に対してのサポートの促進を挙げた。加えて、幼少期からの体験やイベントなどを通じて、理工系分野への興味を深める機会を作ることも重要とされた。

 女性理工系人材の育成に関連しては、末松信介文科相も4月5日に開かれた参議院文教科学委員会で、「わが国の科学技術イノベーションを推進する上で、女性の理工系人材の裾野拡大に取り組んでいくことが重要だ。一方で、女子中学生が理系の進路を選択しない理由に、女性が各技術分野に進んだときの将来像が描きにくいといった課題が挙げられる。これまで文科省では、女子中学生の理系分野への興味関心を高めて、適切に理系への進路選択をできるように、ロールモデルの提示やワークショップの実施等の取り組みへの支援を進めてきた」などと答弁している。

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