安全・安心な教育データ利活用 不安の声受け議論開始

 文科省の「教育データの利活用に関する有識者会議」は4月11日、第8回会合を開き、教育データの利活用にあたっての安全・安心の確保について議論した。教育データ利活用について「卒業後もずっと残ってしまうのか」「就職や入試などで、望まない利用をされるのではないか」といった懸念の声が上がっているとして、学習目的の利用、政策・研究目的の利用など、教育データの性質に応じた議論を今後、進めることを確認。委員からは、教育データ利用の目的を踏み外さないよう、全国で統一した基準を求める意見などが出た一方で、自治体の裁量を残すことの重要性も指摘された。

 昨年3月に取りまとめられた論点整理(中間まとめ)では「教育データの安全・安心の確保」が利活用の原則の一つに挙げられ、▽児童生徒は基本的に未成年者であることも踏まえ、教育データ利活用と安全・安心の両立が実現されるよう、プライバシーの保護などを万全としつつ、安全・安心に利活用が図られる仕組みやルールとする▽個人のデータの流通・利用は、本人の理解や納得の上で行われる必要があり、本人の望まない形で行われることによって、個人が不利益を受けることのないようにする――ことの必要性を指摘。

 一方、文科省の担当者は▽そもそも何のために教育データを利活用しようとしているのか▽セキュリティーの確保など、データは安全に管理されているのか▽在学時のデータは、卒業後もずっと残ってしまうのか▽子供の教育データが、見ず知らずのうちに勝手に利活用されることがあるのではないか▽就職や入試などさまざまな場面において、本人の望まない形で、データが流通・利用されてしまうのではないか――といった心配の声が上がっていると述べた。

 こうした懸念の声を踏まえ文科省は、論点整理(中間まとめ)に即して、教師や児童生徒による現場実践目的の「一次利用」、データの匿名加工を行った上で大学・研究機関などが行う政策・研究目的の「二次利用」、個人のうち希望者が医療データや学校外学習データなどを連携させて活用する「個人活用データ」の3つの場面に分けた論点整理を提案した。

 これに対し橋田浩一委員(東京大学大学院情報理工学系研究科教授)は「教育データを使って、監視や不当な選別など、教育目的から逸脱することを(一般の)皆さんは気にしているのではないか。ガイドラインを作って、どこまでが教育目的と言えて、どの一線を超えると逸脱してしまうのかを明確にすることは避けて通れない。全国統一的な基準が必要ではないか」と述べた。

 一方、三部裕幸委員(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 パートナー弁護士)は、全国統一的な基準の必要性を一部認めながらも、「自治体ごとに抱えるユースケース(システムを活用して目的を達成するまでのやりとりを定義したもの)が異なる可能性がある」と指摘。各自治体の具体的なユースケースに基づき、議論を深めることが重要だとした。

 堀田龍也座長(東北大学大学院情報科学研究科教授)は「学校の設置者は自治体であり、自治体の自由と判断はある程度残す必要がある一方で、全国で教育データには、必ずこれとこれ(項目)を入れるということが、国から責任をもって示されることもまた重要かと思う。このあんばいをどうするかについて、これから検討したい」と結んだ。

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