平等主義から公正主義へ 鈴木寛教授が語る教育改革の針路

 超教育協会は4月13日、「不確実性の時代における教育のあり方とは」をテーマに、オンラインシンポジウムを開催した。文科副大臣、文科大臣補佐官などを務めた鈴木寛東京大学教授・慶應義塾大学教授が登壇し、今年度から新学習指導要領への移行が始まった高校改革を中心に、日本の教育の目指すべき方向性について語った。鈴木教授は、公正で個別最適化された協働的な学びが今後より重要になるとの認識を示し、平等主義から公正主義への転換を強調した。

高大接続改革を中心に、日本の教育改革の方向性を語る鈴木教授(左、Zoomで取材)

 日本の教育の現状について、鈴木教授はOECD(経済協力開発機構)の生徒の学習到達度調査(PISA)の結果を基に、日本の15歳は理科や数学、協働的な問題解決能力は世界トップクラスであるものの、問題は読解力だとし、これに加えて英語とICTを課題に挙げて、「課題は高校、大学に集中している」と高大接続改革の狙いを説明。高校の文理分断によって、15歳段階では世界トップレベルだった理科や数学を、高校2年生以降、文系の生徒が学ばなくなる傾向が強まっていることに懸念を示した。

 その上で、大きな科目再編が行われた高校の新学習指導要領について、「理数探究」や「総合的な探究の時間」によって、PBL(Project Based Learning)と探究活動が重視され、「公共」で対立やジレンマを克服する力、責任ある行動をとる力を身に付け、「情報Ⅰ」によってICTのリテラシーを高めることになると評価。

 一方で「結局、高校現場に影響を与えているのは大学入試だ。だから入試改革が必要で、本当は脱マークシートにしたかったが、大学入試共通テストの国語と数学に記述式問題を入れることは、世論の反対で覆ってしまった。今回の共通テストで『数学Ⅰ・数学A』の平均点が40点を下回ったことに衝撃が走っているが、思考力や判断力が身に付いていないということではないか。むしろ共通テストの成績が良かった高校は深い学びに取り組んでおり、表層的なことばかりをやってきた高校は成績が下がっている」と指摘した。

 さらに鈴木教授は、学校を平等主義から公正主義に転換する必要性を挙げた。「学校の平等主義をどう公正主義に変えるか。オンライン授業で自宅にパソコンのない家庭があるからプリント学習にしようというのではなく、家にパソコンがない人には貸せばいい。一番必要な人に手厚くやるのが公正主義だ」と述べ、GIGAスクール構想による1人1台が実現した中で、教員は百人百様の学びのデザインを考えることが仕事になると強調。

 デジタルコンテンツを活用して、オンラインでの学びとPBLによる現場での学び、そして教室での学びをベストミックスさせながら、公正で個別最適化された学びと協働的な学びを実現していくべきだと呼び掛けた。

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