こども家庭庁、教育格差の解消は「重要ミッション」 諮問会議提言

 政府の経済財政諮問会議(議長・岸田文雄首相)は4月13日、来年4月に発足するこども家庭庁について、少子化対策とともに「教育格差等による世代を超えた貧困の連鎖をなくすこと」を「重要なミッション」と位置付けた民間議員の提言を了承した。提言では、こども家庭庁の設立にあたり、若い世代の就労や居住環境、結婚・出産・子育てに至るまでの環境整備を包括的に対象とし、政府の司令塔として総合調整機能を発揮するため人材や予算を確保することを求めた。提言は、来年度予算編成の基本方針となる「骨太の方針」に反映される見通し。

 この日の経済財政諮問会議では、地方活性化と社会保障が議題となった。民間議員の提言では、社会保障について「成長と分配の両面で、社会保障機能の強化は重要な役割を果たす」と言及。特に岸田政権が重要政策としている「人への投資」について、「制度や財源ごとに仕組みが分かれていることで、子育てと仕事の両立、労働移動に向けた人的能力向上の障害とならないよう、その改善に向けて早急に取り組むことが不可欠である」と指摘した。

 具体的には、セーフティーネット強化と積極的労働市場政策として、失業給付や職業訓練に関連した給付、育児休業給付などの受給に当たり、正規と非正規といった雇用形態の違いによる格差を解消していく方向性が打ち出された。医療・介護サービス改革では、かかりつけ機能が発揮される制度整備やリフィル処方の使用促進などを提言した。

 こども家庭庁については、「少子化に歯止めをかけるとともに、教育格差等による世代を超えた貧困の連鎖をなくすことは、重要なミッションである」として、新組織設立の目的として教育格差の解消を掲げるべきだとの考えを明記。「未来を担うこどもへの投資、生活の苦しい子育て世帯への教育機会や居住への支援がとりわけ重要である」と指摘し、経済的に困難な子育て世帯に対して、教育機会の確保と共に、住宅面での支援に取り組む必要を強調した。その上で、こども家庭庁には、そうした政策の「一元的な推進役としての十分な機能」を発揮するよう求めている。

 また、こども政策の考え方について、「未成年期における保育や学校教育にとどまることなく、若い世代の就労や居住環境、結婚・出産・子育てに至るまでの環境整備を包括的に対象」とすべきだと指摘し、若い世代の仕事や住宅面を含めて、こども政策を構築する必要性を提起した。こども家庭庁は、ここでも政策の「一元的な推進・調整」を担い、来年度の発足に向けて「人材や予算をしっかり集約・確保すべき」だと強調した。

経済財政諮問会議で発言する岸田首相(首相官邸ホームページより)

 岸田首相は「社会保障改革については、ウィズコロナで経済社会活動をしっかりと継続できる万全の体制を整備するとともに、人への投資を支える制度改革を進める。コロナ禍での経験や受診行動の変容を踏まえ、かかりつけ機能が発揮される制度整備や新たに導入したリフィル処方の使用促進など、医療・介護サービス改革の継続・強化に取り組む。併せて、年齢や性別、正規・非正規といった働き方にかかわらず、能力開発やセーフティーネットを利用でき、一人一人が持つ潜在力を十分に発揮できる環境整備を進める」と総括。来年度予算編成の基本方針として、今年6月ごろに閣議決定される「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針)の策定に向け、具体策の検討に取り組むよう指示した。

 経済財政諮問会議の民間議員は▽十倉雅和・日本経済団体連合会会長(住友化学会長)▽中空麻奈・BNPパリバ証券グローバルマーケット総括本部副会長▽新浪剛史・サントリーホールディングス社長▽柳川範之・東京大大学院教授--の4人で構成されている。

 先に閣議決定されたこども家庭庁設置法案によると、同庁が自ら実施する事務として、就学前のこどもの成長に向けた環境確保、子育て支援体制の整備、こどもの保健向上や虐待防止などが定められている。同時に、こどもが自立した個人として成長できる社会の実現といった基本政策や少子化対策については、政府全体の総合調整機能を持つ。

 内閣府では「今回の民間議員の提言は、こども家庭庁が、設置法案に盛り込まれた関連政策の総合調整機能を十分に発揮するように求めた内容」と説明している。

 経済財政諮問会議に出された民間議員の提言「成長と分配の好循環実現に向けた社会保障改革」のうち、こども家庭庁関連部分は次の通り。

■こども家庭庁の発足に向けて

 少子化に歯止めをかけるとともに、教育格差等による世代を超えた貧困の連鎖をなくすことは、こども家庭庁の重要なミッションである。未来を担うこどもへの投資、生活の苦しい子育て世帯への教育機会や居住への支援がとりわけ重要である。来年4月に発足するこども家庭庁には、その一元的な推進役としての十分な機能が求められる。

  • こども政策は、未成年期における保育や学校教育にとどまることなく、若い世代の就労や居住環境、結婚・出産・子育てに至るまでの環境整備を包括的に対象とし、その一元的な推進・調整のために、来年度に向けて、こども家庭庁に人材や予算をしっかり集約・確保すべき。
  • 関係省庁の協力の下、 地方自治体が独自に展開している事業を含め、国・地方のこども政策の全体像を把握し、EBPMを徹底して施策を推進すべき。

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