コロナ禍の授業や行事の制限、学校現場に緩和求める 千葉県教委

 新型コロナウイルスの感染拡大によって続けられてきた学校教育活動の制限について、千葉県教委は4月14日、段階的に緩和していくよう学校現場に求める方針を公表した。授業では、「感染リスクの高い学習活動」とされている、グループ学習、球技・楽器演奏・調理実習などの実技・実習、校外学習を基本的に実施するよう求めた。修学旅行は訪問先の感染状況に留意しながら、県内外を問わず実施。入学式や卒業式などの式典も保護者など参加者の人数制限を行わない。同県の熊谷俊人知事は同日の定例会見で、「子供たちの大切な思い出となる学校行事や体験学習の機会を奪わないように、これまで控えてきた、多様な教育活動の実現に一歩踏み出してほしい」と、学校現場に呼び掛けた。

 千葉県教委では、新型コロナによる子供たちへの影響として、▽ストレスや運動不足による心身の不調▽多様な学習機会や交流機会の喪失▽マスクの常時着用によるコミュニケーション阻害--などが起きていると説明。今後の学校運営の基本的な考え方について、①子供たちの健やかな成長を図るため、地域や学校の状況を踏まえて、段階的に学校教育活動の制限を緩和する②学校における感染リスクの低減を図るため、基本的な感染症対策を徹底する--の2点を掲げ、学校教育活動の制限緩和と感染症対策の両立を図る方針を打ち出した。

 学校教育活動の制限緩和では、まず、各教科の授業のうち、文科省が衛生管理マニュアルで「感染症対策を講じてもなお感染のリスクが高い学習活動」として注意喚起している、対面形式のグループ学習、球技・楽器演奏・調理実習などの実技・実習、校外学習について、基本的に実施することを表明。これらの授業には、積極的にICTの活用も図る考えを示した。

 学校行事については、運動会で多様な種目を実施することを明記。修学旅行は、訪問先の感染状況に十分留意しつつも、県内外を問わずに実施すべきだとの考えを示した。入学式や卒業式などの式典では、参加者の人数制限を行わず、保護者らも参加して実施することを求めた。

 給食や昼食の際には、飛まつを防ぎながら「黙食」するのであれば、机を向かい合わせにして対面で食事をすることも可能とした。実施にあたっては、県独自の飲食店の認証基準も参考にすることを促している。

 部活動については、通常通りの実施を求めた。小学生の外遊びも推奨している。ただし、部活動では、密室となりやすい部室を利用したり、下校時に寄り道してマスクなしで飲食したりといった部活動に付随する行動がクラスターの要因になるとして、感染症対策の徹底を求めている。

 一方、徹底すべき基本的な感染症対策としては①健康観察の徹底②会話時のマスク着用③定期的な手洗いの実施④換気の徹底⑤狭い閉鎖空間での密集状態の回避--を強調した。

学校教育活動の緩和について説明する千葉県の熊谷知事(千葉県の公式YouTubeチャンネルより)

 こうした制限の緩和について、熊谷知事は「子供たちの大切な思い出となる運動会、文化祭、修学旅行などの学校行事や、体験学習の機会を奪わないよう、教育現場においてはこれまで控えてきた多様な教育活動の実現に一歩踏み出してほしい」と述べ、コロナ禍での教育活動制限が子供たちに与えている影響を念頭に、学校現場に対応を促した。

 このタイミングで教育活動制限の緩和を打ち出した背景について、「学校現場の教員は、不満を強くは言わない。しかしヒアリングをしていくと、学校の子供たちの成長にさまざまな課題がある一方、感染対策に高い水準を求められてきたこともあって、非常にもどかしい思いを持っていることが分かる。今回は、学校現場の思いを極力くみ取った中で示させていただいた」と説明。

 「この検討に当たっては、基本的には感染対策のレベルを下げずに、疫学上意味のある形で見直しをしていく方針を示している。大事なことは、それぞれの学校現場の状況はバラバラだということ。学校現場の実情に応じて柔軟に対応していただきたい」と述べ、感染症対策の徹底と学校現場それぞれの実情に応じた対応が前提になっていることを強調した。

 また、制限緩和について学校現場と他の分野の状況を比較し、「イベントや経済活動に関しては、科学的な知見の蓄積やオミクロン株の状況を踏まえて、感染対策を維持しながらも、ある種の緩和がなされてきている。そうした意味では、学校現場は見直しが十分になされてこなかった分野の一つだと思う。感染対策と両立させながら、貴重な体験や学びの機会を確保する、そうした一歩を踏み出していかなければいけないと考えている」と述べ、学校現場での制限緩和が他分野よりも遅れているとの認識を示した。

 文科省の衛生管理マニュアルでは、学校教育活動の制限については、具体的な活動場面と地域の感染状況に応じて、学校設置者である自治体の判断で機動的に対応することを求めている。例えば、グループ学習や実技・実習などについては「感染のリスクが高い学習活動」として、緊急事態宣言に相当するレベル3では実施しないように求め、医療機関が感染状況に対応できているレベル1では換気、身体的距離の確保や手洗いなどの感染症対策を行った上で、実施を検討するよう、判断基準となるガイドラインを提示。実際の運用に当たっては、自治体や学校現場が感染状況に応じて機動的に対応するよう求めている。

 千葉県教委が打ち出した学校教育活動の制限緩和も、こうした機動的な対応を行うよう、学校設置者である県内の市町村や学校現場に促す内容となっている。

 千葉県教育庁では「感染のリスクが高い学習活動にしても、修学旅行にしても、現状で行っているかどうかは、市町村や学校によって対応がまちまちになっている。コロナ禍が長期化する中で、学校教育活動に制限のある学校とない学校があるのは望ましくない。だから、いったん制限を決めたところであっても、地域や学校の状況を踏まえて、段階的に制限を緩和していくことを求めた」(教育振興部保健体育課)と話している。

 県教委は、こうした制限緩和の方針について、県内の小中学校等の設置者である市町村などに近く通知する。

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